研究課題/領域番号 |
18F18776
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松永 茂樹 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (60183951)
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研究分担者 |
MOOSMANN PHILIPP 東京大学, 農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / ロテノン / カイメン |
研究実績の概要 |
2008年に採取した121種のうち21種、2016年に採取した43種のうち5種、2017年に採取した37種のうち5種、および2018年に採取した83種のうち10種のカイメンが、ロテノンによる毒性からSH-SY5Y細胞を保護するドキソルビシンと同様の活性を示した(図1)。そこで、再現性よく細胞保護作用を示した試料を用いて、以下に示すように活性成分の探索を行った。 カイメン16-008の抽出物を溶媒分画物に付したところ、1-ブタノール画分にだけ生物活性が認められたため、これをODSフラッシュクロマトグラフィーで分画を行ったところ、いずれの画分にも生物活性が認められなかった。カイメン17-017の抽出物の溶媒分画物は、1-ブタノール画分およびクロロホルム画分に生物活性が認められたため、それぞれの画分をODSフラッシュクロマトグラフィーにより分画したが、いずれの画分にも生物活性が認められなかった。カイメン18-021は、溶媒分画におけるn-ヘキサン画分に生物活性が認められたため、これをシリカゲルカラムで分画したが、いずれの画分にも生物活性は認められなかった。カイメン18-333はスクリーニングでは再現性よく生物活性を示したが、抽出物の溶媒分画物はいずれも生物活性を示さなかった。大島新曽根産カイメン17-114、およびサンゴ曽根産カイメン08-679の抽出物が再現性よく、細胞保護活性を示したため、それぞれのカイメンの抽出物の分画を行った。カイメン17-114の溶媒分画物の1-ブタノール画分に生物活性が認められたた、それぞれから活性成分の単離を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
屋久新曽根産カイメン16-008と大島新曽根産カイメン17-017の抽出物は、溶媒分画物後のODSフラッシュクロマトグラフィーで、いずれの画分にも生物活性が検出されなかった。大島新曽根産カイメン18-021は、溶媒分画後のシリカゲルカラムクロマトグラフィーの後に生物活性が消失した。大島新曽根産カイメン18-333は抽出物の溶媒分画物後に生物活性が消失した。大島新曽根産カイメン17-114では、溶媒分画物後のODSフラッシュクロマトグラフィーで活性画分が得られ、これをさらにHPLCで分画して活性画分を得た。その画分のLCMSデータにもとづき、類縁化合物を探索するとともに活性物質の精製を進めた。生物活性を示す画分は得られたが、構造決定を行うために十分な量の化合物を得ることができなかった。サンゴ曽根産カイメン08-679では溶媒分画後の、水画分、1-ブタノール画分、およびn-ヘキサン画分に生物活性が認められた。水画分をODSフラッシュクロマトグラフィーにより分画したところ、水および75%メタノール溶出画分に活性が認められ、この75%メタノール画分を用いて活性成分の精製を行った。
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今後の研究の推進方策 |
スクリーニングを続けるとともに、これまでに見つかった活性を示す化合物の単離・構造決定を行う。
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