研究課題/領域番号 |
18F18788
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
荒川 和晴 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 准教授 (40453550)
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研究分担者 |
FLEMING JAMES 慶應義塾大学, 環境情報学部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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キーワード | クマムシ / 緩歩動物 / 分子系統解析 / 年代推定 / オプシン |
研究実績の概要 |
緩歩動物門を占めるクマムシのうち、陸生の種は周辺環境の乾燥に伴い体内の水分を完全に脱水し代謝を止め、再水和によって速やかに生命活動を再開する「乾眠」という機構を持つ。しかし、進化的にクマムシは真クマムシ綱と異クマムシ綱で少なくとも二回陸上進出を行っていると考えられているもののその進化過程は明らかでない。そのため、本研究では海産性クマムシを含む多 数のクマムシゲノムに基づく系統解析により、クマムシ陸上進出進化の年代推定と、乾眠機構の進化の詳細を明らかにすることを目的としている。 昨年度は、光受容タンパクであり、脱皮動物の共通祖先の段階から複数のオーソログをが存在するオプシンを元に、クマムシ50種を含めた脱皮動物の大系統樹を算出し、18Sや乾眠関連タンパクCAHSの系統樹などと比較検証した結果、得られた大系統樹がロバスであることを確認した。クマムシには化石標本が十分に存在しないが、節足動物の化石標本を用い大系統樹から緩歩動物門内の分岐年代を推定したところ、真クマムシと異クマムシの分岐がオルドビス紀の最初期頃に起きたことが推定された。この結果は限られた種から推定された過去の報告や節足動物の陸上進出タイミングと一致しており、今回より多くの遺伝子に基づく大規模な系統樹が得られたことにより、より確からしい分岐年代の推定が得られたものと考えられる。これにより、クマムシの陸上進出は藻類などの陸上進出とほぼ時期を同じくして起きたことが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り分子系統解析による緩歩動物門の陸上進出年代の推定を達成しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
残る半年ほどで本研究の詳細データを詰め、論文化を進める。
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