研究課題/領域番号 |
18F18796
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金井 崇 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60312261)
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研究分担者 |
MOREL JULES 東京大学, 総合文化研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2018-11-09 – 2021-03-31
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キーワード | 点群用深層学習モデル / LiDAR点群 / セグメンテーション |
研究実績の概要 |
今年度は,LiDAR 測定点群から葉の部分の点群と木の部分の点群を自動的に分類するための手法の開発を行った.樹木を測定する際,葉や木の情報は分離されることなく一括で取得される.葉と木の部分は,モデリングを行うプロセスが異なるため,モデリングを行う前にこれらを分離する必要がある.従来はこの分離の作業を手作業で行っていたため,非常に効率が悪い,という問題があった. ここでは,深層学習とクラス決定プロセスに基づき,自動的な分類にするための手法を開発した.近年では,点群に対する分類やセグメンテーションを行うための深層学習モデルがいくつか提案されている.本研究では,その点群用深層学習モデルの一つである PointNet++ をベースにして用いることとし,対象とする葉と木の分離のために手法を拡張した.PointNet++ に適用するために,点群を一定数のグループに分割するアルゴリズムを開発した.さらに,1つの点に対する複数の分類結果から,投票制によって最終的な分類結果を判定するためのアルゴリズムを開発した. 学習には,樹木作成ソフトウェアで生成された人工的な複数の樹種モデルを使用した.なぜならば,教師データとして木と葉があらかじめ分離されているのが望ましく,一方で実際のLiDAR測定データではあらかじめ分離されているデータを得るのが難しいからである. 実験では実際のLiDAR測定データを用い,過去の研究(主に統計的に分類する方法が中心)と比較することで有効性を検証した結果,過去の手法より大幅に分類精度が向上できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設定したテーマについて一定の進展が得られたものと考えている.投稿した論文が不採択になるなどがあったが,別の雑誌に投稿している段階である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,LiDAR 点群からの樹木や地表面の曲面再構築についての研究を行っていきたい.特に,地表面の陰関数曲面を用いた再構築に関する先行研究としては, 共同研究者の過去の研究が先駆的な研究として認知されている.しかし,このアプローチは,特に遮蔽の多い領域では,手法上,過度に平滑化された表面を構築する傾向があり,細かな凹凸の地表面を再構築することが難しい. そこで,ここでは点群からのより高精度な地形曲面再構築手法を提案する.まず,今年度の研究で得られた知見を利用し,深層学習に基いて植物形状を潜在的な地表面から分離する.次に,一の分割 (partition of unity) 手法を用いて複数の局所的近似曲面をブレンドすることで穴を埋める.その後,反復対流モデル (iterative convection model) を用いてデータ点に向かって表面を押し上げることで,再構築された表面の精度を向上させることができるものと考えている. 実験では,実際のLiDAR測定データを用い,過去の研究(主に統計的に分類する方法が中心)と比較することで有効性を検証する予定である.
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