研究分担者 |
西澤 松彦 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20273592)
安部 隆 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00333857)
小野 崇人 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90282095)
折茂 慎一 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (40284129)
田中 秀治 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00312611)
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研究概要 |
振動,糖分,温度差などの微小エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換し,高付加価値でかつ環境問題に貢献するマイクロ発電システムの基盤技術の確立と実現を目的として以下の研究を実施. 1)環境発電(エナジー・ハーベスティング)システム:マイクロ静電誘導振動発電についてストライプ構造の最適化,考案した新構造整流回路の集積化を検討し,出力密度として従来比2倍程度を達成.マイクロ圧電振動発電について,PZT薄膜に関しては共振周波数350Hzの6μm厚のマイクロ自立カンチレバーデバイスを開発・新たにAIN薄膜マイクロ振動発電デバイスを検討し,発電効率が理論的に電気機械結合係数とQ値に依存することを明らかにするとともに,デバイス試作を行い0.7x0.3mmのマイクロカンチレバーで3.6μWの発電出力を達成. 2)酵素触媒による環境・生体適合型バイオ燃料電池:バイオ燃料電池システムの安定性向上を目指し,時差式発電機構の開発を行った.グルコースオキシダーゼによるグルコース酸化アノードと,ビリルビンオキシダーゼによる酸素還元カソードによるバイオ電池を3セル積層し,層間を生分解性高分子PLGAで仕切った構造とした.一層目に発電用の溶液を導入すると,発電がおこなわれるのと同時に2層目との境界のPLGAの分解が開始し,約半日後に2層目に溶液が流入する.更に半日後には3層目にも溶液が流入して発電が始まる.以上の機構によって,バイオ電池システムの安定性および寿命の大幅な向上を実証. 3)高付加価値マイクロエネルギーシステム:マイクロ燃料電池については新たに酸素イオン伝道性Y-doped BaZrO_3(BZY)を用いて,MEMS技術によってマイクロ固体酸化物燃料電池(SOFC)を試作.イオン伝導特性を明らかにし400℃以下の低温も動作することを実証.熱電子発電を低温で行うため,プラズマ点火モードで動作するデバイスについて基礎検討を行った.エミッタとしてカーボンナノチューブを用い,狭ギャップで対向するコレクタ間でマイクロプロズマを発生させ,エミッタの加熱により,電流増加が観測され,発電素子としての可能性が示された.全固体薄膜マイクロLi電池の実現を目指し,LiAlH_4,Li_3AlH_6などのリチウムイオン伝導特性を評価し,LiClあるいはLiIを添加した場合,室温の伝導率がそれぞれ約5倍および約35倍増大することを見出した.
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