研究概要 |
KEKB/Belle実験によって収集した約700fb^<-1>のデータを用い、名古屋大学のデータ解析施設コンピュータにおいて解析を進めた。注目を集めているタウのLFV崩壊の探索を進め、t→1V^0, 1f^0, 1hhなどの崩壊に対し、信号検出効率を改善させつつバックグラウンド事象の除去を成功させ、10^<-8>台の崩壊分岐比まで感度を向上させることに成功した。さらに、ハドロン崩壊モードの解析を進め、τ→πην, πων崩壊の分岐比や角度分布の測定によりセカンドクラスカレントの探索を行い、従来の結果に比べ10倍以上の感度向上を果たしつつある。また、ミューオンg-2計算におけるハドロン効果を信頼度高く導出するために必要なτ→ππν崩壊の形状関数の精密測定を進めた。膨大なデータを解析するために必要なコンピュータシステムの構築・増強を研究者の手によって行い、ボトルネックの解消に努めている。 一方、LHC/ATLAS実験では、2009年秋に予定されているビーム衝突に向け、新物理事象を高純度かつ単純に選択するミュー粒子トリガー検出器の建設、コミッショニング研究を推進した。特に、本研究組織の人員が検出器グループのコーディネーターを始めとする主要任務に付き主導的に研究を行っている。他検出器との統合試運転を行いつつトリガー・データ収集系の改善点の洗い出しを行い、性能向上を目指し、ハードウェア、ソフトウェア両面から改良を行った。 年度末に研究報告会を行い、研究評価委員の方の提言を元に研究を進めている。
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