研究課題/領域番号 |
18GS0207
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
巽 和行 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (10155096)
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研究分担者 |
川口 博之 名古屋大学, 分子科学研究所・錯体化学実験施設, 助教授 (20262850)
樋口 芳樹 兵庫県立大学, 大学院生命理学研究科, 教授 (90183574)
吉澤 一成 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (30273486)
松本 剛 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助手 (50311717)
大木 靖弘 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助手 (10324394)
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キーワード | 金属硫黄クラスター / 還元系金属酵素 / ニトロゲナーゼ / ヒドロゲナーゼ / 小分子活性化 / アセチルCoA合成酵素 / COデヒドロゲナーゼ / 有機金属化学 |
研究概要 |
本年度は、還元系金属酵素に見られる複雑な活性部位構造の再現を目指して以下の研究を実施した。 ニトロゲナーゼ活性部位を模倣する鉄硫黄クラスターの合成:最近我々は、非極性溶媒中で鉄(II)アミド錯体と硫黄化試薬を均一に反応させる新しいクラスター合成方法を開発し、結果としてニトロゲナーゼのP-cluster[Fe_8S_7]骨格を構築することに成功した。この合成概念をさらに発展させ、鉄(II)アミド錯体と一連のかさ高いチオールとの反応から得られる単核および二核鉄チオラート錯体を調製し、これを出発に新しい鉄硫黄クラスターの合成を検討した。鉄アミド錯体にDmpSH(Dmp=di(mesityl)phenyl)およびTipSH(Tip=2,4,6-^iPr_3C_6H_2)を順次作用させたところ、二核錯体Fe_2(STip)_2(μ-SDmp)_2がほぼ定量的に得られた。この鉄チオラート錯体はトルエン中で無機硫黄と反応し、幾つかの新たなクラスター化合物を与えたが、トルエン/HMDSOからは新規[8Fe-7S]クラスター[Fe_8S_7(SDmp)_2(μ-SDmp)_2(μ_STip)](1)が結晶として単離された。クラスター1は、鉄アミド錯体にHSDmp/HSTip/S_8を順次加える反応からも生成するが、この場合には、二つの[4Fe-3S]不完全キュバン型ユニットが2つのチオラートと1つのアミドによって架橋された類似の[8Fe-7S]クラスター[Fe_8S_7(STip)_2(μ-SDmp)_2{μ-N(SiMe_3)_2}](2)も少量生成した。クラスター1,2の特筆すべき点は、これらの構造がニトロゲナーゼの活性中心FeMo-cofactorに極めて類似していることであり、クラスターの形式酸化数が5xFe(II),3xFe(III)で奇数個のd電子をもつことも、FeMo-cofactorと共通する特徴である。
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