研究課題
光誘起相に敏感なテラヘルツ領域の線形・非線形光学応答に資する全反射分光法や新しい原理の高出力テラヘルツ電磁波発生法を提案した。実際に、出力テラヘルツ光電場強度が200kV/cm、量子効率が30%に達する高強度高効率テラヘルツ波発生に成功した。このために必要なファイバー融着器を購入した。また、昨年度までに導入した赤外FTIR分光器に顕微鏡や液体窒素クライオスタットを付与し、スピンクロスオーバ-錯体Fe(ptz)_6(BF_4)_2の光誘起相の動的構造変化を明らかにした。また、時間分解X線構造観測技術を分子結晶の光励起状態における構造に関する研究に適用すべく、フェムト秒レーザーと軌道放射光組み合わせ技術の開発を行った。その結果、時間分解能7Opsで、3-20keVの波長域のX線を、繰り返し周波数1kHzのフェムト秒パルスレーザーと同期させながら発生させ、パルスX線を用いた構造解析のみならず、各種X線時間分解分光学にも応用を可能とする装置の改善を達成した。さらに、新奇な動的相スイッチ材料の検討をおこなった。物質開発としては、(EDO-TTF)_2PF_6の部分重水素化体の作製を継続した。中性分子と併せて解析を行い、重水素化に伴いC=C二重結合が関与する振動も低エネルギーシフトする事を明らかにした。本錯体の伝導層内でのドナー分子の2量化の度合いが転移温度と、また、結晶構造中の空隙の大きさがヒステリシス幅と相関を持つ事を見出した。さらに、テトラセレナフルバレン(TSF)とTTFあるいはジセレナジチアフルバレン(STF)が融合したジセレナジチアペンタレン(STP)ドナー,ST-STPおよびBDS-STPの新規誘導体の合成に成功した。得られた分子をドナーとして用いた伝導性錯体の作製について検討したところ、テトラキス(チオメチル)体(TTM-ST-STP)のPF_6塩の単結晶育成に成功した。この塩の電子構造は一次元バンド絶縁体(活性化エネルギー0.092eV)と考えられる。建物改修の遅れにより予算を繰越し平成20年度に導入した局所排気装置により、試料物質の純度や混合比に敏感な物質合成実験が円滑に行えるようになった。まず、(EDO-TTF)_2PF_6について、そのEDO-TTFを部分的にMeEDO-TTFで置換した混晶を作製した。約10%のMeEDO-TTFを混入させた時、高温相は元の(EDO-TTF)_2PF_6と同形構造を保っていたが、その金属-絶縁体転移からは電荷秩序化転移の様相が消失するという興味深い現象を見出した。
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