研究分担者 |
矢持 秀起 京都大学, 低温物質科学研究センター, 教授 (20182660)
腰原 伸也 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (10192056)
御崎 津 愛媛大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90202340)
永井 正也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30343239)
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研究概要 |
研究代表者(田中)と分担者(永井)はFe(ptz)_6(BF_4)_2や[FeH_2L^<2-Me>](ClO_4)_2などのスピンクロスオーバー錯体における統合的動的構造解明をすすめ、非平衡準安定状態からの動的緩和パスの解明や2変数イジング模型をもちいた動的緩和過程を記述する数理モデルの構築をおこなった。[FeH_2L^<2-Me>](PF_6)_2、[FeH_2L^<2-Me>](AsF_6)_2においても隠れた対称性の破れが起きることを明らかにした。分担者(御崎)と(CHTM-TTP)_2TCNQ錯体の詳細な赤外分光を行い、2次元→1次元の金属転移がおきていることを確認した。また、高出力短パルスレーザーシステムを購入し、ガスプラズマをもちいた広帯域THz分光システムの構築をおこなった。分担者(矢持)は[(EDO-TTF)_<1-x>,(MeEDO-TTF)_x]_2PF_6の組成を持つ混晶を、xが約0.55以下、および、約0.92以上の範囲で得ることに成功した。これらの混晶の結晶構造は、xが小さな範囲では多重不安定性に基づく金属-絶縁体(MI)転移を示すx=0の錯体と、xが1に近い場合はx=1の錯体と同形であった。x<0.05の場合はx=0と同様の機構によるMI転移が観測されたが、x=0.13の場合、x=0の錯体が持つ多重不安定性の内、電荷秩序化不安定性のみが選択的に消失した機構によるMI転移が起こる事を見出した。分担者(腰原)は研究代表者と協力して低次元電荷秩序型錯体に関して,光誘起相転移初期過程を分光学的手法で調べるとともに、(C_2H_5)_2(CH_3)_2Sb[Pd(dmit)_2]_2結晶とペロブスカイト型Co酸化物における光誘起相転移現象の機構を、超高速分光技術を駆使して解明した。分担者(御崎)は分子内電荷分離状態が期待されるドナー,ST-STPの化学修飾を行い,エチレンジオキシ置換体であるEDO-TSおよびTMEO-STの合成に成功した。得られたドナーを用いた分子性導体の構造と電気伝導性について検討し,(EDO-TS)_2PF_6はβ型ドナー配列を有する金属で50K以下で絶縁化していることを明らかにした。
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