(a)高活性精密重合系の開発 シークエンス高分子合成の基盤となる、より広範な機能性モノマーに対して有効な精密ラジカル重合系を、配位子設計による重合触媒の高活性化や成長末端の可逆的活性化に対する平衡制御を通じて開発した。 (b)分子量分布の狭いテレケリックオリゴマーの合成とその鎖延長反応 分子量分布が狭く、両末端に反応性官能基を有するテレケリックオリゴマーは、機能性基が規則的に配列したシークエンス高分子の前駆体となる。しかし、従来の精密ラジカル重合では、定量的に機能性停止末端を導入するのが困難であり、その機能性基も限られたものであった。19年度は、重合触媒をそのまま末端基変換触媒へ変換する手法や、成長末端の極性変換法を独自に開発し、ケトン基、水酸基、カルボニル基、ビニル基など多種の反応性基を末端に導入することに成功した。これにより、多種の反応性テレケリックオリゴマー合成の基盤技術を確立した。さらに、カルボニル基を有するテレケリックオリゴマーをジアミン化合物と反応させ鎖延長化することに成功した。 (c)鋳型組込開始剤の設計とそれを用いた精密重合 重合によりモノマー配列を制御するには、モノマーと相互作用しうる機能性基の配列情報を組み込んだ鋳型ポリマーと、鋳型ポリマー近郊で重合させる反応場の構築が必要と考えられる。19年度は、精密カチオン重合由来のポリマーを鋳型とする、精密鋳型ラジカル重合システムを構築した。まず、ベンゼン環のオルト位に精密カチオン・ラジカル重合の両開始点をした開始剤を合成し、精密カチオン重合により、所定位置にアミノ基を導入した鋳型ポリマーを合成した。これを鋳型組込開始剤とし、アミノ基と相互作用しうるメタクリル酸をメタクリル酸メチルとリビングラジカル共重合させると、アミノ基の導入位置を反映するように両モノマーの反応性比が変化し、本システムの鋳型効果が示唆された。
|