研究課題/領域番号 |
18GS0211
|
研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
生田 孝 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (20103343)
|
研究分担者 |
安江 常夫 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (00212275)
日坂 真樹 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 講師 (40340640)
市橋 幹雄 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (90345869)
川崎 忠寛 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (10372533)
木村 吉秀 大阪大学, 工学研究科, 助教授 (70221215)
|
キーワード | 電子顕微鏡 / 走査型透過電子顕微鏡 / 位相コントラスト / CT / Csコレクター / FE電子銃 / ナノ材料 / ナノデバイス |
研究概要 |
走査型透過電子顕微鏡(STEM)に円環状対物瞳と透過電子を検出するアレイ型検知器を装着し、並列フーリエフィルタリング処理を行えば、高い分解能を保ちつつ、焦点深度の深い位相像が観察できる。この観察法とCT技術を組み合わせて、三次元ナノ位相トモグラフィーを実現する事が本研究の目的である。 円環状対物瞳については、収束イオンビーム(FIB)加工によって必要な精度で製作可能である事が判明、30ミクロン厚Ta板に外径40-120ミクロン、外形内径比80%の円環状対物瞳を試験的に試作した。 アレイ型検知器についてはシンチレーターと円環配置光ファイバー結合マルチアノード光電子増倍管を使用する方針としたが、接着加工等に未だ問題が残っている。さらにアレイ型検出器の出力を実時間処理する並列フーリエフィルタリング処理システムについては目下、概念設計を終了した段階である。年度の後半では、先行研究で試作済みのアレイ型検知器と並列処理システムのプロトタイプを使用して、円環状対物瞳の基本結像特性計測と振幅・位相分離再生の予備実験を実施した。 上記の位相像観察技術を実用化するには、鏡体にCsコレクターと高輝度電子銃を装備する事が強く望まれる。Csコレクタについては、解析式を用いた検討、およびシミュレーションを駆使し、必要な光学系構成を決定した。特に従来型よりレンズ1個(あるいは2個)を削減し、コンパクト化が実現できることを見出した。現在は上記の構成に基づき、各光学要素の位置・形状の決定、必要な電源仕様の決定が終了し、実際の装置設計図面の作成を進めている段階であり、来年度には実験機でのテストが開始できる予定である。 高輝度界浸型FE電子銃については、まず永久磁石材料の検討を行い、それらを組み込んだレンズ部品の試作・予備実験を実施した。その結果、現在2種類まで磁石材料の絞込みがなされている。また、予備実験結果の検証のためにシミュレーションによる磁場分布解析も平行して進めており、その評価や改良の指針を打ち出している。来年度はこれらの結果に基づき、レンズ構造を決定し30kVSTEM用の電子銃の試作機を製作する予定である。
|