研究課題
現在、ホスホイノシタイドの可視化はGFPを融合させたドメインを用いて、PI(3,4,5)P3やPI(4,5)P2などの細胞内局在が見られている。この方法は生きている細胞内での脂質の動態を見ることができるという利点がある反面、細胞にトランスフェクションする必要があり、最大の欠点は発現させたプローブが脂質と結合し、その生理機能を阻害するため、生理的機能下での局在を見る事が難しい事である。またこの方法はトランスフェクションできないような細胞や組織には適応できない。そこで我々は様々な局面での細胞や患者からの組織にも適応できる方法を開発した。感度をあげ、非特異的な自然蛍光のない領域波長のQ-dotをプローブに結合させ、同時に3種のホスホイノシタイドを可視化できた。この方法は今まで見る事のできなかった、細胞や病理サンプルの脂質の変化を直接見る事ができ、様々な疾患でのホスホイノシタイドの変化をみることができるようになり、組織染色にも応用できる事を示した。細胞は刺激に応答してダイナミックに形を変え外側向きの突起、(糸状仮足や葉状仮足など)を形成して細胞遊走を行い、エンドサイトーシスに際しては内側向きの突起(陥入構造)を形成し、細胞内膜輸送を行う。その際、FBP17やCIP4などのホスホイノシタイド結合タンパク質が膜変形作用を持ち、突起構造形成に関与することを発見した。それらが多量体フィラメントを形成し、細胞膜を螺旋状に包み込み、チューブ状に変形させ、突起を形成するという機序の解明も行った。一方、SH3YL1の持つSYLFドメインという新しいドメインは今まで見つけられたBar,F-Barドメインがチューブ形成するのに対して、リポソームの断片化を生じた。SH3YL1はPI(4,5)P2と特異的に結合し、細胞内ではマクロピノサイトーシスにあり、SH3YL1のノックダウンはマクロピノサイトーシスを完全に抑制した。
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