研究概要 |
哺乳動物には7種のホスホイノシタイドが存在し、IP3やジアシルグリセロ-ルといった2次メッセンジャ-の産生脂質としての役割以外に、そのものが細胞内情報伝達や膜輸送、細胞骨格制御など様々な機能制御に関与していることが分かってきた。またこれらの脂質代謝の乱れが癌や糖尿病を始めとする、様々な疾病の原因になることも分かり、ホスホイノシタイドの重要性がますます認識されている、増殖、分化、発生といった生命の基本現象へのホスホイノシタイドの関与やその代謝の乱れが癌、糖尿病などの疾病に至る機序を明らかにするには、「微量かつ簡便なホスホイノシタイド検出法の開発」と言う、革新的な技術の開発が必要である。本研究では個々のホスホイノシタイドに特異的かつ高親和的に結合するドメインを利用した、(1)「全く新しい考えに基づくホスホイノシタイドの微量定量、検出法を確立する」。この方法を応用し、様々な細胞刺激や疾病に伴うホスホイノシタイドの変化を明らかにする。更に、(2)「新たなホスホイノシタイド結合ドメインを探索しその生理機能を明らかにする」。PI(3,4,5)P3はAkt/PKBやG蛋白質など数多くの重要な蛋白質の機能制御に関わっている。PI(3,4,5)P3の量的、局所的制御機構を明らかにするため(3)「PI(3,4,5)P3ホスファタ-ゼのSKIPやPTENがどのようなコンパ-トメントのPI(3,4,5)P3を特異的に分解し、シグナルの局在化を行っているのかを明らかにする」。(4)これらの代謝酵素のノックアウトマウスを作成して、糖代謝、脂質代謝、癌発生への影響を調べる。
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