研究課題/領域番号 |
18GS0313
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚谷 裕一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90260512)
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研究分担者 |
堀口 吾朗 立教大学, 理学部・生命理学科, 准教授 (70342847)
山口 貴大 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任研究員 (60450201)
FERJANI Ali 東京学芸大学, 教育学部, 助教 (20530380)
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キーワード | 器官サイズ / 分子遺伝学 / 発生・分化 / 葉 / 補償作用 |
研究概要 |
最終年度ということで、総まとめとして以下の論文を発表した。 ・AN3による補償作用のメカニズム解明の結果として、AN3が葉の細胞数制御だけでなく、背腹性の制御にも重要な機能を有していること(Horiguchi et al.2011a)、それと関連してリボゾームタンパク質の機能欠損による細胞数の減少と葉の形態・サイズの制御の関係に、これまで知られていたのとは異なる性質が認められること(Horiguchi et al.2011b)を明らかにし、それぞれ発表した。 ・補償作用を示す変異体として単離していたもののうち、fugu2の原因遺伝子をクローニングした結果、H+-PPiaseをコードする遺伝子であることが判明した。詳細な解析の結果、発芽初期に代謝の更新に伴って蓄積するPPiが、さまざまな生物活性を阻害するために、細胞数の現象が起きること、これは外部から糖を与えることでキャンセルできることを明らかにし、また酵母の細胞質型PPiaseの発現によっても完全に表現型を抑圧できることから、この遺伝子の主要な機能はPPiの加水分解による無害化であり、液胞プロトンポンプの機能ではないことを明らかにした(Ferjani et al.2011;2012)。 ・葉の原基における細胞増殖と細胞伸長の極性について、詳細な再検討を加えた結果、従来知られているのと異なり、葉身と葉柄の境界部に当たる位置に、局部的な細胞増殖活性が認められること、その制御にはBOp遺伝子群が関与していることを明らかにした(Ichihashi et al.2011)。 ・細胞数の減少をもたらすものの、補償作用を示さないROT4の過剰発現体について、その形態形成上の本来の役目について、器官の長軸方向に対する位置価の制御なのではないかという知見を得、ROT4関連ペプチドの機能ドメインの推定とともに発表した(Ikeuchi et al.2011)。 ・また本研究分野の成果に関する総説として、Nicotra et al.2011;Horiguchi&Tsukaya 2011;塚谷 2011a,2011bを公表した。
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