研究課題
学術創成研究費
器官サイズの制御の理解は基礎生物学的にも、また医学的にも重要な解明課題である。近年の研究の成果から、器官レベルの制御は、細胞レベルの制御の単純な積み重ねではないことが、明らかとなってきた。例えば植物の葉においては、細胞周期の制御に異常を与え、細胞の供給が低下した状態にしても、葉のサイズは、細胞数の減少から計算されるほどには減少しない。これは、原因不明の細胞肥大が異常に亢進して、細胞数の減少を相殺するからである。これは一方向性で、逆の現象は起きない。そこでこれを私たちは補償作用(compensation)と名付けた。本研究計画はこれを重要な視点として、細胞間相互作用に基づく器官レベル制御システムを、分子レベルで解明しようとするものである。そのため5年間の短期集中的解析を進め、以下の各項目について明らかにする計画とした。(1) まず補償作用と呼ばれる現象を支える個々の遺伝子群を同定する。そのことを通じて、補償作用を支える分子基盤とその遺伝ネットワークを解明する。(2) 葉原基での細胞の分裂と伸長をリンクさせる分子基盤を明らかにする。(3) 同時に、補償作用の惹起を指標として、器官レベルでの細胞数(細胞増殖活性)のモニタリングシステムを解明する。すなわち、器官レベルでの細胞数が、どのようにモニターされているのかを解明する。
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