研究課題/領域番号 |
18GS0316
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森川 耿右 大阪大学, 蛋白質研究所, 寄附研究部門教授 (80012665)
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研究分担者 |
村山 明子 筑波大学, 生命環境科学研究科, 講師 (50431656)
楯 真一 広島大学, 理学研究科, 教授 (20216998)
大山 拓次 大阪大学, 蛋白質研究所, 寄附研究部門助手 (60423133)
白木 琢磨 大阪大学, 蛋白質研究所, 寄附研究部門助手 (10311747)
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キーワード | ホメオスターシス / 核内受容体 / 脂質代謝物 / 転写調節因子 / 蛋白質立体構造 / X線結晶構造解析 / 核磁気共鳴 / プロテオミクス |
研究概要 |
本研究では、「核内受容体の主要な役割は生体内代謝産物をモニターし調節することにある」という観点から、転写制御を介した生体恒常性維持機構の研究を進めている。本年度は脂質代謝物に含まれる核内受容体リガンドの同定と整理、構造解析を進めるための標的蛋白質の同定、転写調節複合体の解析、構造解析のための技術開発を行った。 1、核内受容体による内在性リガンドの認識機構を解析し、リガンドとして機能する不飽和脂肪酸代謝物に共通に見られる化学構造を同定した。この化学構造を持つ合成リガンドをスクリーニングし、内在性リガンドと同様の活性を有する新規リガンドを同定した。現在、リガンド認識機構の構造基盤を明らかにするために、結晶化条件の検討を行っている。 2、核内受容体による転写調節機構を明らかにするためには、全長に近い形での核内受容体の構造解析が必要となる。そこで、DNA結合ドメインとリガンド結合ドメインの両方を含む核内受容体をヘテロダイマーとして発現し、精製を行った。精製蛋白質のDNA結合活性を確認し、リガンド・核内受容体ヘテロダイマー・DNA複合体の結晶化を始めた。さらに、転写調節因子複合体の構造解析を目指し、いくつかのコアクティベータ蛋白質について、大腸菌およびバキュロウィルスを用いた発現系の構築および精製を行った。 3、培養細胞を用いた実験系で、核内受容体が他の転写因子と結合する事で、受容体自身がDNAに結合することなく転写を調節するという新しい転写調節機構を発見した。プロテオミクス解析により、調節に関与する蛋白質を同定し、ノックアウトマウスの作成を開始した。 4、核内受容体の活性化に伴う立体構造変化を検出するために、核磁気共鳴(NMR)を用いた緩和分散法解析技術および、異方性効果による分子配向変化の検出技術を開発した。これらのNMR解析に向け、同位体標識した核内受容体を発現精製し、シグナルの帰属を開始した。
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