研究課題
本研究では核内受容体を介した生体恒常性維持機構の研究を進めており、今年度は下記の通りの成果を得た。X線結晶構造および生化学的解析により、新規内在性リガンドとしてセロトニン代謝産物を同定した。また、脂肪酸/セロトニン代謝リガンドが、協調的に核内受容体を活性化する構造基盤も明らかとした。さらに、より正確な代謝リガンド認識・活性化機構を解明すべく、全長タンパク質を用いた複合体構造解析も進めた。PPARγによる転写調節にはリガンド結合ドメインに加えAF-1と呼ばれる領域が重要である。実際、肥満の家系においてこの領域のアミノ酸に点変異(P85Q)が報告されているが、変異により影響を受けるタンパク質相互作用は不明であった。我々はプロリンイソメラーゼPinlがS84がリン酸化されたAF-1を特異的に認識し、PPARγのポリユビキチン化を抑制することで活性調節を行うことを発見した。また、ヒト肥満の家系で見つかっているP85Q変異はPinlとの相互作用を阻害する事を示した。前立腺癌細胞の増殖は、estregen receptor β(ERβ)及びKLF5(Kruppel-like transcription factor 5)により制御されていることを見出した。さらに,ERβがKLF5に結合し,KLF5上にCBPをリクルートすることによりその転写活性を増加させること、またERβのリガンドによりKLF5の転写活性が制御されることを見出した。PPARγLBDのアゴニスト(GW1929)結合状態の主鎖のNMRシグナル帰属を完了し,コアクティベーターSRC-1の結合部位との相互作用解析を行った.AF-2領域近傍に大きく化学シフト変化が観測される一方で,H3ヘリックス近傍にも小さな化学シフト変化が観測された。結晶構造から期待されるよりも化学シフト変化が及ぶ領域が広範囲にわたっており,2次的なコアクティベーター結合部位の存在あるいはLBDの構造変化の可能性がある。LBDの構造変化をDIORITE法により解析するために必要な配向条件下でのPPARγのTROSYスペクトルの取得に成功し構造解析を開始した。PDJ2を含む複数のアゴニスト化合物との複合体のNMRスペクトル取得に成功した。
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