研究課題/領域番号 |
18GS0318
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高橋 裕一郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50183447)
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研究分担者 |
山本 泰 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40091251)
沈 建仁 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60261161)
坂本 亘 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (20222002)
皆川 純 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (80280725)
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キーワード | 光合成 / 光化学系 / 分子集合 / ステート遷移 / アンテナ複合体 / ダイナミクス / 光環境 / クラミドモナス |
研究概要 |
酸素発生型光合成の電子伝達系は2つの光化学系(PSIとPSII)により駆動される。大きく変動する光環境でも光合成反応をの効率を維持させるため、2つの光化学系の構造と機能は大きく変化する。本研究では、アンテナ複合体の構造と機能、光エネルギー変換装置である光化学系の構造と機能、について研究を進めた。(1)PSI複合体に結合するアンテナ複合体LHCIのポリペプチド組成と色素組成を決定した。9種のLHCIポリペプチドが存在し、そのコピー数は8-9であった。さらにPSI-LHCIには約300分子のクロロフィルが、各LHCIには1分子のβカロチンが結合することが分かった。さらにステート2の細胞から単離したPSIに結合するLHCIIにはおよそ90分子のクロロフィルが存在した。(2)ステート遷移により一部のLHCIIがPSIとPSIIの間を移動し、ステート2ではPSI周辺の循環的電子伝達反応が活性化されることが報告されている。ステート遷移により変化するポリペプチド組成を調べると、PSIの還元側で機能するフェレドキシンNADP還元酵素(FNR)が存在した。この結合型FNRは直鎖型電子伝達反応には機能するが、循環型電子伝達反応への関与については解析中である。(3)PSI複合体の分子集合中間体を同定した。そこにはPsaGとPsaKは含まれず、LHCIの結合が不安定であった。PsaGとPsaKはLHCIの分子集合とその後の安定化の制御に強く関与すると考えられる。(4)PSI複合体の結晶構造解析を進めた。これまでに分解能13A程度のX線回折を示す結晶が得られたが、構造解析を進めるには更に結晶の質を高める必要がある。(5)PSIIの構造と機能のダイナミクスに関与する小型のサブユニットPsbTとPsb30が光損傷からの回復過程やPSIIの分子集合に重要な役割を果たしていることを示した。
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