研究課題
葉緑体の光エネルギー変換装置である2つの光化学系の構造の解析を進め、新たな知見が得られた。まず、緑藻クラミドモナスの系1複合体には9種の異なるアンテナ複合体LHCIが結合するが、それらの配置を化学架橋法と変異株の解析により部分的に決定した。その結果、植物より大きなアンテナ複合体の配置を可能とする構造を明らかにした。また、系1複合体の結晶化を進め、再現性よく10Å程度の解像度の回折が得られたが、構造解析を進めるにはさらに結晶の質を高める必要があることが分かった。また、系2の小サブユニットPsb30が反応中心複合体に強固に結合し、強光下での光合成活性の維持に必要であることを示した。好熱性シアノバクテリアの系2複合体の構造解析が解像度1.9Åまで向上し、光合成反応で最も重要な反応系の一つである酸素発生系の構造の詳細が明らかにされた。複雑な構造をもつ系1複合体の分子集合過程は多段階で進行すると考えられている。本研究により分子集合過程の解析が大きく進展した。これまでに解析を進めた初期の分子集合過程に続いて、後期の過程の解明に成功した。特に、新たな分子集合中間体の同定に成功し、アンテナ複合体が系1コア複合体への結合と安定化に周辺部の2つのサブユニットPsaGとPsaKが重要な役割を果たしていることを示した。光環境の変化に応答して、2つの光化学系間のアンテナ複合体の再配置と系1周辺の直鎖と循環の電子伝達活性の切り替えが起こる。再配置するアンテナ複合体の定量的解析と電子伝達活性の再構築に関する生化学的解析が大きく進展した。特に、電子伝達活性の切り替えに伴い、シトクロムb6f複合体が系1複合体と結合することを示し、生化学的にほとんど解明されていなかった循環型電子伝達系の解明の突破口を開いた。
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