加齢に伴って起こる膝などの関節痛の予防や治療法の開発のために、関節軟骨の主要成分であるコラーゲンの質量分析(LC-MS/MS)による解析を行ってきた。コラーゲンには規則的な架橋(生理的架橋 : ピリジノリン(PYD)、デオキシピリジノリン(DPD))と、老化に伴い糖がコラーゲンに非酵素的に結合することによりおこる架橋(病的架橋 : ペントシジン(PEN))がある。これらを同時解析することで、より優れた軟骨の質の評価につながるのではないかと考えた。 これらを同時に解析するための検討を重ね、以下のような結果を得た。 (1)標品のPENを用い、既に検討してきたPYD、DPDと同時測定する系を検討した。 分離のためのカラム選択、LCの条件、MS/MSの条件 (2)実験動物の膝関節軟骨から調整したサンプルにPYD、DPDに加え、PENも効率よく抽出されてくるか検討した。 組織の可溶化、夾雑物の除去、タンパク質の酸加水分解による抽出条件 (3)生体サンプルから抽出したPENをPYD、DPDと同時に定量する系を確立した。 イオン化効率の確認、検出可能濃度範囲の決定 研究結果の一部を「第91回日本生化学会大会」にて発表し、「第41回生理学技術研究会」において招待講演し、まとめた。
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