○研究目的 : 本研究では、国内外の大学等において開発されているCubeSat(1辺10cm重さ1kg程度の超小型衛星)モデルやスタンフォード大学Robert Twiggs教授が提案したCanSat(飲料水缶に通信・GPS等計測機器、姿勢制御などを組み込んだ地上用小型模擬衛星)工学教育プログラムを「体感できる宇宙教育教材」として用い、アイデア創出・設計製作・プログラミング・試験運用・結果の解析など一連のプロセスを経験し、チームワークやプロジェクトマネジメント能力を向上させるとともに、ユビキタス社会を実現するIoT無線通信技術については、低コスト・低消費電力に加え、長距離通信を実現できる可能性を有したLoRaWAN(LoRa)を用いることで、屋外での利用も含めた新たなアプリケーション応用への活用方法や技術力の習得が期待できると考えている。次の時代を担う高専学生が自ら様々なセンサを有する模擬衛星製作を行うと同時に、次世代のLPWA通信技術に触れ、創造の自由度を向上させることで世界の広がりや楽しさにつなげることを目的とし、具体的にどのように実現可能であるか実証的に開発研究を行った。 ○研究方法 : 複数の安価な計測制御機器を組み合わせ、初期投資や導入工数の負担を軽減できる小型模擬衛星教材(CanSat型・CubeSat型)を試作し、電気電子・情報系以外の学生でも容易にLoRaモジュールを用いた無線接続で効果的な運用・実験が行える環境の実現を行った。また、受信装置(地上局)に自動運用とネットワーク化に適した基本機能を備え、データの取得解析・可視化等、一連のプロセスを向上させる模擬衛星用通信ソフトウェアのプロトタイプを試作し、実用性と汎用性の評価を行った。 ○研究成果 : 平成30年8月30日~9月2日新居浜市のマリンパーク新居浜において、全国11高専で「高専スペースキャンプ2018」が開催され、CubeSat製作講座等を行い、一般的な構造や製作方法、電源管理・通信・姿勢制御などを学び、小型模擬衛星を実際に見て触ることで、初めて参加する学生でも短期間で製作から実験・競技までを実施することが可能となった。学生が新たなアイデアを創出、物作りの奥深さや面白さを体験するとともに、人工衛星開発などに興味をもつ学生が増え必要な素養を体得できる環境の実現ができたと考えている。
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