研究課題/領域番号 |
18H00613
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
高尾 賢一郎 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (20785480)
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研究分担者 |
帯谷 知可 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (30233612)
高岡 豊 東京外国語大学, その他部局等, 非常勤講師 (10638711)
辻上 奈美江 上智大学, 総合グローバル学部, 准教授 (30584031)
中山 紀子 中部大学, 国際関係学部, 教授 (00288698)
和崎 聖日 中部大学, 人文学部, 講師 (10648794)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 共産主義 / 公共圏 / ジェンダー / 世俗主義 / 法 |
研究実績の概要 |
ムスリム社会における風紀の通念と影響を考察するとの目的に沿って、初年度の平成30年度は、メンバー個々による資料読解と現地調査を実施するとともに、ムスリム社会の風紀のあり方と社会的影響についての最新の状況、また非ムスリム社会の同様の事例についての報告の機会を設けることで、メンバーの知識の拡充を図った。具体的な活動は、以下の通りである。 (1)各メンバーが取り組むテーマ・方法について情報共有・意見交換するための打ち合わせを継続的に実施し、全体のテーマと各メンバーとの関心のつながり、および共同研究における各メンバーの役割分担をより明確にすることで、共同研究の能率化を図った。(2)7月28日に東京大学で、分担者による報告を中心とした研究会を実施した。また2019年1月19日には、筑波大学(東京校舎)でゲスト講師の報告を中心とした研究会を実施した。(3)メンバー個々がインドネシア、ウズベキスタン、トルコ、イランでフィールドワークや資料収集を進めた。(4)11月16日に京都大学で、京都大学イスラーム地域研究センターとの共催による研究会を実施した。また2019年3月18日には、北海学園大学(札幌市)で、北海道宗教研究会との共催による研究会を実施した。後者の研究会では、研究協力者1名が最新の研究成果を報告した。(5)メンバー個々が国内外の学会などで研究報告を行い、さらに和文英文での論文投稿・刊行を果たした。(6)科研全体の成果刊行に向けた打ち合わせを、代表者を含めたメンバー3名を編者とする体制で実施し、学術書としての論集刊行の作業手順を国内出版社と協議した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に予定した、ムスリム社会の風紀の通念の影響についての状況、研究方法についての理解、非ムスリム社会の同様の事例についての把握、そして成果公表についての準備などを順調に進めることができた。具体的な進捗状況は、以下の通りである。 (1)各メンバーが取り組む地域、テーマ、事例などを、研究会およびその前後に実施した打ち合わせを通して明確化し、さらにこれをメンバー間で共有することで、メンバー個々の研究がプロジェクトの中でどのように位置付けられるか、またどのような隣接分野、関連テーマに対する拡張性を持ちうるかについて検討する機会を設けた。これにより、2019年度以降、メンバー個々の研究テーマのプロジェクト全体への貢献度を高めることができると期待される。(2)研究会は3回を予定していたところ、2回の実施に終わったが、他プロジェクトとの共催の研究会を2回実施し、人脈の拡大を図るとともに、メンバー個々が自身の研究報告の機会などを通して有益なフィードバックを得た。これにより、2019年度以降、プロジェクト内の活動の充実化はもちろん、他プロジェクトとの協働による活動も各種容易になると予想される。(3)科研全体の成果については、計画した論集刊行に向けて出版社を確保し、綿密な協議を経て、論集の構成、価格・部数、刊行スケジュール、執筆要領などを確定した。各メンバーが遅滞なく原稿を提出する前提で、2020年度刊行の見通しが立った。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる2019年度、現代ムスリム社会における生活規範やこれにかかわる制度についての調査を継続しつつ、結果報告を積極的に行い、さらにこれらと西洋・日本社会の事例との比較を進める。具体的な計画は以下の通りである。 (1)現地調査に関して、メンバー個々がウズベキスタン、中国、ドイツなどで現地調査を実施する。なお調査に際しては、現地研究者と今後の共同研究の体制構築に向けた協力を取り付けるなどの働きかけを行う。 (2)研究報告に関して、ゲスト講師・コメンテーターを交え、プロジェクト・メンバーが定期的に公開研究会で成果を公表する。ムスリム社会の事例に関しては、イラン、インドネシア、ウズベキスタン、エジプト、サウジアラビア、中国、トルコにおける、イスラーム的価値観に基づいた生活規範をめぐる現状を、前年度に行った調査結果を中心に報告する。また非ムスリム社会の事例に関しては、ドイツとアメリカにおけるユダヤ教徒コミュニティ、日本における仏教の戒律、日本やヨーロッパにおける宗教施設の観光地化をめぐる問題などについて報告する。 (3)各種成果公表に関して、日本中東学会(5月)、日本宗教学会(9月)などでメンバー個々が研究報告を行う他、国内外の学術誌に論文を投稿する。また最終年度の成果公表に向けた準備として、2020年8月にダニーデン (ニュージーランド)で開催予定の国際宗教史学会(IAHR)にメンバーを中心としたパネルを申請する他、共著となる学術書の執筆に各メンバーが取り組み、これを2020年秋に刊行すべく準備を進める。
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