研究課題/領域番号 |
18H00621
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
村田 裕和 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (10449530)
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研究分担者 |
和田 崇 三重大学, 教育学部, 准教授 (10759624)
鴨川 都美 久留米工業高等専門学校, 一般科目(文科系), 准教授 (20757546)
鳥木 圭太 立命館大学, 文学部, 助教 (30749396)
足立 元 二松學舍大學, 文学部, 講師 (40532487)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 文化運動 / プロレタリア美術 / プロレタリア演劇 / 橋本英吉 / 大岡欣治 / 浦西和彦 / いわさきちひろ / あきた文学資料館 |
研究実績の概要 |
本研究は、今年が初年度であるが、2015~17年度基盤研究(C)(15K02238)を受け継いでいる。研究代表者および研究分担者は、研究協力者とともに「昭和戦前期プロレタリア文化運動資料研究会」を組織し、この研究会の活動を通じてプロジェクトを遂行している。本研究プロジェクトでは、資料の調査と収集・整理を起点として、その画像を収録したDVD資料集の刊行をおこない、さらに資料集をふまえた研究論集の刊行という順序で研究活動を進めてきた。前回の基盤研究からスタートしたこの流れは、本年度で一巡した。ここまでの研究では、ガリ版刷りのニュースやチラシの分析を通して、戦前の文化運動の実態を部分的に明らかにすることができた。2018年9月には、昭和戦前期プロレタリア文化運動資料研究会の第6回研究会を二松学舎大学においておこない、今後5年間の研究活動について討議した。 本年度の最大の成果は、論集『革命芸術プロレタリア文化運動』(中川成美・村田裕和編、森話社、2019年2月)を刊行したことである。本書は科研費研究成果公開促進費の助成を受けた。主な原稿は2017年度の申請時に完成していたものの、編集の過程でより充実した内容とすべく努力した。 その他、[1]プロレタリア美術の周辺(プロキノ)や戦後の継承者たち(いわさきちひろ、丸木位里・俊、大塚睦など)についての研究、[2]浦西和彦旧蔵資料の調査(あきた文学資料館、2019年2月・3月)、[3]橋本英吉旧蔵資料調査(三島市立図書館、11月)、[4]大岡欣治旧蔵資料調査(関西勤労者教育協会、12月)、[5]企画展準備、などを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究活動を通じて、国内にはまだ多くの未発掘、あるいは未整理のエフェメラ資料(非公刊の印刷物・筆記資料)が残存していることが明らかになった。本年度は、これらの資料を保存している機関での予備的な調査を主に実施した。予備調査はおおむね順調に実施することができた。その結果、すでに刊行したDVD資料集に匹敵するほどの膨大な資料の存在が浮かび上がってきた。調査および情報整理についての一通りのノウハウの蓄積はあるものの、今後これらをどのように活用していくかは検討課題である。 また、本プロジェクトでは研究成果をより広く一般市民に公開することにも力を入れたいと考えている。中でも最も実現させたいのが文学館における資料展示であった。幸い市立小樽文学館に引き受けていただくことができ、2019年度の実現に向けて順調に準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は7月~8月に市立小樽文学館において企画展を実施する。展示構成・展示資料についての検討も順調に進んでいる。また、8月には第7回研究会を北海道教育大学において実施する。その他、1~2回程度、本研究プロジェクトメンバーを中心としたワークショップもしくは、昨年度刊行した論集の合評会を実施する予定である。 資料調査は、昨年度実施した機関での調査を継続する。その他、プロレタリア美術およびプロレタリア演劇関連の資料調査および関係者への聞き取り調査を予定している。 調査対象は膨大であるため、研究の遂行に問題が生じる可能性も十分考えられるが、従来の経験を踏まえ、優先順位を定めつつ、重要な資料から順に報告を提出できるように時間・労力・資金のバランスを考慮しつつ、より有効な方策を常に模索することとしたい。 その他、本研究会が2017年に刊行した『昭和戦前期プロレタリア文化運動資料集』を読む会が本プロジェクトとは別に組織された。今後の研究連携を検討していきたい。
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