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2020 年度 実績報告書

ナポリの劇場(音楽・演劇)史構築にむけての、18世紀公証人文書史料の重点調査

研究課題

研究課題/領域番号 18H00625
研究機関熊本大学

研究代表者

山田 高誌  熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (10580665)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード公証人 / 興行研究 / 劇場史 / イタリア音楽 / オペラ史
研究実績の概要

コロナによる渡航制限により、中心課題であるナポリ公文書館における現地調査がR.2年度、R.3年度とも不可能となってしまった。さらに、関連するイベント類もすべて延期となり、従って、本期間中においてはR.1年度末までに行っていた公証人史料調査成果をまとめ論文執筆、国内学会での発表、国内での調査、研究に限定せざるを得なかった。以下、その活動の主な概要を記す。

R.2年度においては、柏崎市の黒船館において、長崎・出島で上演された日本初の西洋世俗音楽作品となる川原慶賀画による舞台図調査(《乳絞娘と二人の狩人》、1820)を行った。これは洋楽受容、18世紀ナポリに学んだ作曲家ドゥーニの作品の受容、そしてナポリ発の音楽の国際的広がりを端的に示す好例となり、既にR.1年度、ドゥーニの生地マテーラで開催されたイタリア音楽学会大会において発表していた本テーマについて、今後さらに作品校訂等へと展開させる重要な基礎調査となる。R.3年度においては、査読論文「ナポリ王国南部地域における音楽劇の実態解明にむけて ー1777-78年, カラーブリアへの喜劇オペラ巡業契約を中心事例として明らかにする”定期巡業ルート”の存在の同定と ,それを担った”アーティスト”の実像」の出版を行った。概要は以下の通り。

①18世紀のイタリア南部地域の音楽劇の上演歴を都市ごとに整理し、宗教的世俗作品である「聖史オペラ」が大きな割合を示していたことを提示。②”地方”の音楽劇が誰によって実施されていたのか、ナポリ公証人文書を基に、1777年にカラーブリアに巡業したナポリの”音楽家陣”、各々のパーソナルヒストリーを解明。③ナポリの興行師「F.ドルツィテッリ」が、カラーブリアの田舎巡業に乗り出した経緯と詳細を、1770-90年のナポリ・フィオレンティーニ劇場の興行師陣営全容解明と共に提示。これは当該領域においては世界初の成果となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

しR.2年のコロナによる渡航制限は、延期後のR.3年度にも継続することとなったため。

今後の研究の推進方策

渡航制限の解除を待ちたいが、体質的にワクチン接種を行っていないことからR.4年度の海外渡航、現地調査も厳しいのではないかと思われる。再度延期を行うことで、現地調査の再開を待つとともに、これまでの研究の蓄積を論文化をすすめ、あわせて本研究を出発とした新しいテーマへの展開を模索していることろである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] ナポリ王国南部地域における音楽劇上演の実態解明にむけて ― 1777-78年, カラーブリアへの喜劇オペラ巡業契約を中心事例として明らかにする“定期巡業ルート”の存在の同定と, それを担った“アーティスト”の実像2022

    • 著者名/発表者名
      山田高誌
    • 雑誌名

      九州地区国立大学教育系文系研究論文集

      巻: 8-2 ページ: 1-66

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 映画、テレビ、オペラをめぐる「芸能史料」の現在~ 元NHK プロデューサー・後藤田氏資料発見に寄せて ~2021

    • 著者名/発表者名
      山田高誌
    • 雑誌名

      総合文化学論輯

      巻: 15 ページ: 78ー84

    • DOI

      10.15017/4776873

    • オープンアクセス
  • [学会発表] オペラ・映画向け諸劇場の史料の種類と調査・保存に関わる諸問題:イタリアを中心事例として2021

    • 著者名/発表者名
      山田高誌
    • 学会等名
      科研シンポジウム<パブリックカルチャーにみる音楽教育コンテンツーー 過去・現在・未来>
  • [学会発表] 旧ナポリ王国南部地域のオペラ巡業ルートの存在-首都ナポリからコゼンツァ、フォッジャへの道を事例として-2021

    • 著者名/発表者名
      山田高誌
    • 学会等名
      全九州音楽学会
  • [学会発表] ナポリ公証人史料調査に基づく民間劇場の経営トラブル、観客の解明―動乱の1779~83年度・フィオレンティーニ劇場を中心に―2020

    • 著者名/発表者名
      山田高誌
    • 学会等名
      日本音楽学会西日本支部第50回例会

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公開日: 2022-12-28  

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