研究課題/領域番号 |
18H00626
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯野 りさ 東京大学, 大学院総合文化研究科, 学術研究員 (80758756)
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研究分担者 |
谷 正人 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20449622)
米山 知子 関西学院大学, 国際学部, 研究員 (50511127)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 音文化 / 中東 / 少数派 / 音楽 / クルド |
研究実績の概要 |
本研究はイラン、トルコ、アラブ諸国でこれまで調査研究を行ってきた三名の研究者が、中東少数派の音文化の解明を目的とした研究で、第三年目である2020年度(令和2年度)はコロナ禍により繰越と再繰越で、22年度(令和4年度)まで続いた。本科研はメンバーの海外渡航調査と国内でのレクチャー・コンサート開催が二本柱となっている。しかし、周知のように2020年に始まったコロナ禍により、国内での人の集まりも海外渡航も事実上の制限がかかっていたため、2020年から2021年にかけては本科研の研究者による渡航調査も、海外から演奏家を招へいして行われるレクチャー・コンサートも実施の機会がなかった。しかし、以前からトルコの研究者兼演奏家として著名なオズデミル氏を招へいする計画があったため、対面での実施は断念し、代わりに2022年2月にオンラインの形で開催した。同氏はトルコでも少数派のアレヴィー教徒であり、第1部でアレヴィーに関するレクチャーを行い、第2部で録画によるコンサートをストリーミング配信した。この試みには100名を超える参加があり、フィードバックは好評であった。また、これに先立つ1月には、科研メンバーである谷が21年に出版した著書『イラン伝統音楽の即興演奏―声・楽器・身体・旋法体系をめぐる相互作用』の読書会をオンラインで開催し、コメンテーターとして増野亜子氏と東田範子氏が登壇、熱心な参加者からの質問もありこの試みも好評であった。調査に関していうならば、2020年、21年と対面での調査や渡航に制限がかかっており状況は芳しくなかった一方で、学振海外特別研究員として2021年10月までスウェーデンに滞在していた飯野は、帰国前に若干現地での対面調査を再開することができ、また、イスタンブール在住のシリア正教徒の関係者にオンラインでインタビューを試みることもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年からのコロナ禍により、海外渡航調査だけでなく、国内でのレクチャー・コンサートの対面開催や研究会の対面開催が困難になった。ゆえに、中東という渡航調査の重要な海外の音文化の研究を調査研究の中核部分に据えている本科研は大きな打撃を被った。そこで、代替案として研究会やレクチャー・コンサートをオンラインに切り替えたものの、渡航調査をオンラインで代替することはかなり難しく、その部分の進展は最終年度にゆだねることとした。
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今後の研究の推進方策 |
上に示したように、対面での調査やコンサート開催が可能となった2022年後半に研究の進展深化があることを期待することとした。
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備考 |
1.2021年2月に第3回中東音文化研究会をオンラインで主催、2.2022年1月に第4回中東音文化研究会として谷正人著『イラン伝統音楽の即興演奏』の読書会を主催、3.2022年2月にレクチャー・コンサート『アナトリアのアレヴィー:音楽は語る』(ウラシュ・オズデミル氏の講演と演奏)をオンライン開催。
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