研究課題/領域番号 |
18H00634
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 真理 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (40257176)
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研究分担者 |
友岡 邦之 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (10363780)
藤野 一夫 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (20219033)
阪本 崇 京都橘大学, 現代ビジネス学部, 教授 (20340458)
李 知映 成蹊大学, 文学部, 客員准教授 (70812618)
中村 美帆 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (80736041)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 文化政策 / 政策評価 / 人文知 |
研究実績の概要 |
2017年6月文化芸術基本法が成立した。この法律は2001年に制定された文化芸術振興基本法を改正したものであり、その重要な変更点は、文化芸術推進計画の策定を国に義務づけたことである。また2018年の通常国会で文化財保護法の改正も予定されており、そこでも文化財保護計画の策定が予定されている。計画の策定は、それまでの基本方針と異なり、目標管理と、進捗状況の確認、成果を評価するプロセスが組み込まれることになり、これまでの文化政策の実務のあり方を大きく変更する内容となっている。 これまでも事業成果の定量評価が一般の行政領域に適用されてきているが、とりわけ文化政策領域においては、既存の定量評価では不十分と考えられ、独自の政策評価の必要性が語られてきた。本研究では、事業評価より上位の政策評価のための制度、概念、方法、基準、指標を、先行国および国内の事例を批判的・参照的に検証し、文化芸術の内容面に重要な学術的な成果(芸術論・批評・評論)をもたらしてきた人文知を活かして、今後の政策評価の方法と制度を考察することを目的としている。 2019年度は、2回の研究会を開催して、自治体文化政策の現場で評価を行っている研究者、また映画を題材に評価システムを構築している研究者、そして英国における芸術文化助成に関する調査研究を行った研究者を招き、現在の「評価」についての状況について、理解を深めた。また、研究代表者、研究分担者ともに、自治体の文化政策等の立案・評価に関わっており、それらの実践を通じて、評価における問題を共有した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
具体的な実践事例を集めることはできており、それぞれの現場において手探りで行われているということもわかってきている。
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今後の研究の推進方策 |
事業に対する評価を計画に反映することで行財政の効率化を図ることは、古くは費用便益分析やPPBS(planning-programming-budgeting system)など、これまで幾度となく行われながらも成功してこなかったという実例がある。近年の「評価学」において注目されているようなプロセス評価などの個別事業に関わる評価や、人文知を応用した評価が、行財政全体の中に組み込まれるときに有効な手段となり得るために何が必要なのかについて、理論的な側面から明らかにするために、これまでに行ってきた評価理論の概観を踏まえてつつ、費用便益分析やPPBSが必ずしも成功しなかった原因を再検討し、近年取り組まれている新しい評価手法との接合について検討する。
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