研究課題/領域番号 |
18H00635
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
萩岡 松韻 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (30376925)
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研究分担者 |
久保田 敏子 京都市立芸術大学, 日本伝統音楽研究センター, 名誉教授 (10090200)
野川 美穂子 東京藝術大学, 音楽学部, 講師 (50218294)
長谷川 慎 静岡大学, 教育学部, 准教授 (00466971)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 山田流箏曲 / 地歌箏曲 / 古曲 |
研究実績の概要 |
本研究は、山田流箏曲及び地歌箏曲の中で「古曲」や「稀曲」「秘曲」と呼ばれ次代への伝承が危ぶまれている楽曲の録音、楽譜化、伝承者から曲の伝授、目録の作成を行い、その研究成果を基に公開演奏および公開講習を実施し稀曲・秘曲を次代へと伝えることを目的としている。研究期間中に行うこととして、研究対象の楽曲について、(1)楽曲目録の整理・作成、(2)伝承者の演奏の保存(録音・楽譜化)、(3)公開演奏、(4)公開講習を行うことである。(1)に関連し、期間中2度開催した研究成果発表会で山田流箏曲と地歌との関係について、関連資料とテキスト等を収集し、それらの分析及び検討を通して配布用パンフレットにまとめ、同時にレクチャーコンサート「萩岡松韻の世界ⅣおよびⅤ」において曲間解説を行った(野川美穂子)。次に(2)(3)に関連し、研究代表者の萩岡松韻が伝承する「古曲」および「稀曲」について楽譜の精査と精密な楽譜化およびデータ化を行なったとともに、「古曲」を伝承する上での手ほどき曲として「古曲」の要素を盛り込んだ曲を作曲し楽譜化した。上記コンサートにおいて楽譜を使用して共演者に楽曲を伝授、検証演奏を行った(萩岡松韻)。次に(2)関して、絶版となっているSPレコード及び私家蔵の磁気テープに記録された貴重音源のデジタルアーカイブ化作業を進めているところである。また「成果報告の一環として東京藝術大学図書館との共同で、蓄音機コンサートを実施した(萩岡松韻・久保田敏子・野川美穂子・長谷川慎)。なお、(4)について年度末に実施予定であったがコロナウィルス蔓延により世間での演奏会や講習会が中止される事態となったことをうけ実施しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に立てた年次計画に基づいて順調に進んでいる。楽譜及び音源資料については当初予想以上に収集成果が上がった。成果発表会についてはレクチャーコンサート「萩岡松韻の世界」を2回、SPレコードコンサート「邦楽の名人を聴く その壱」を1回実施したが、過去の成果発表会に比較して聴衆が増加しているように感じている。若手演奏家を楽曲の伝承者に派遣し伝授を受けることについては当初予定していた以上の派遣実績をえられた。SPレコード及び私家蔵の磁気テープに記録された貴重音源収集が進んでおり、デジタルアーカイブ化作業についても順調に作業が進んでいることから判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度も、研究計画書に基づいて研究を展開する。本研究の第1の目的は、山田流箏曲及び地歌箏曲の中で「古曲」や「稀曲」「秘曲」と呼ばれる曲類に加え山田流に伝わる「箏組歌」(29曲)という次代への伝承が危ぶまれている楽曲の録音、楽譜化であることから、楽譜制作について委託者と協働しつつ出来上がった楽譜を活用しレクチャーコンサートにおいて検証しつつ成果を発表する(萩岡松韻)。なお、レクチャーコンサートについては今年度も2回実施する予定であるが、コロナウィルスの対応を見ながら開催を判断することから実施できないことも視野に入れ成果の発信について動画配信も検討する。楽曲の伝承を受けた若手演奏家による公開演奏及び講習会を実施したいと考えているが、これについては伝承者と研究分担者と精査しつつ慎重に検討を行う(萩岡松韻・野川美穂子・長谷川慎)。絶版となっているSPレコード及び私家蔵の磁気テープに記録された貴重音源については引き続きでジタルアーカイブ化作業を進める(久保田敏子・野川美穂子・長谷川慎)。
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