研究課題/領域番号 |
18H00637
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研究機関 | 沖縄県立芸術大学 |
研究代表者 |
小西 潤子 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 教授 (70332690)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 三線製作 / 生態学的音楽学 / 音楽文化の持続可能性 |
研究実績の概要 |
4月に沖縄県三線製作事業協同組合事務局長に対して、パートナーズプロジェクトおよび子どもたちに向けての取り組みについて聞き取り調査を行った。そして、伝統文化にあまり関心のない層までもターゲットに取り込む「泡盛モデル三線」の製作販売、ジャンルや流派を問わずに三線音楽の魅力を子どもたちに伝える事業計画などの情報を得た。聞き取り調査内容はビデオ撮影・編集し、日本音楽表現学会第20回(ソナーレ)大会にて、研究代表者の司会進行により、レクチャー「持続可能な沖縄の三線製作とパートナーズプロジェクト」としてビデオプレゼンテーションを行った。また、同大会では、基調講演および作曲・即興演奏家、筝曲演奏家によるレクチャーのコーディネートも行った。基調講演「楽器をめぐる自然と文化」では、浜松市楽器博物館が資料収集や調査研究を通して直面した自然環境の変化等による楽器存続の危機的状況が明るみになり、箏曲演奏家らの実演を交えたレクチャーでは箏や三味線の製作が激減・断絶に近い状況だと知らされた。3年ぶりの対面開催により、基調講演およびレクチャーの参加者の反応を直に見ることができて、その後も積極的な意見交換が行えた。多くの参加者が、沖縄県内における三線製作や日本伝統楽器製作現場が直面する材料枯渇や製作技術伝承の危機的状況を衝撃的に受け止めた。これにより、音楽表現に携わる研究者に対して、民族音楽学の手法を基礎としつつ環境へのかかわりから社会的に従事する生態音楽学的実践の重要性について広く周知し、長期的な持続可能性を見据えた生態音楽学の実践的方法論の確立に向けての研究を推進することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本音楽表現学会第20回(ソナーレ)大会にて音楽表現に携わる研究者に対して、研究代表者の司会進行によりレクチャー「持続可能な沖縄の三線製作とパートナーズプロジェクト」として、三線製作事業協同組合事務局長が三線工房で作業をしながらインタビューに答えるかたちで収録したビデオプレゼンテーションを行った。これにより、沖縄県内の三線製作現場が直面する材料枯渇や製作技術伝承の危機的状況についてリアルに発信することができ、大会参加者と対面で積極的な意見交換が行えたため。
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今後の研究の推進方策 |
日本音楽表現学会第20回(ソナーレ)大会でのビデオプレゼンテーションの効果が明らかになったので、ビデオ制作による研究成果公表および研究成果の関係者への還元の手がかりを得た。そこで、沖縄県三線製作事業協同組合が植林・造林事業の一環として2012年より除草作業参加やイベント協力、啓蒙活動へボランティアで参画している「くるちの杜プロジェクト in 読谷」の除草作業やイベントのビデオ制作に向けて、準備を進めることとする。平行して、共同執筆による英文での論文出版に向けての仕上げ作業を行うこととする。
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