研究課題/領域番号 |
18H00645
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研究機関 | 学習院女子大学 |
研究代表者 |
土屋 有里子 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (70339620)
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研究分担者 |
小林 直樹 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (40234835)
加美 甲多 跡見学園女子大学, 文学部, 講師 (50783578)
伊藤 聡 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (90344829)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 無住道暁 / 沙石集 / 雑談集 / 説話 / 東国 |
研究実績の概要 |
今年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、一度も実地踏査を行うことができなかった。踏査の対象寺院は地方に多く、すでに進めていた寺院に関する踏査も中断になった。そのため各自の問題意識に基づく文献調査、論文執筆が中心となった。 継続中の『雑談集』輪読についても中断を余儀なくされた。これまでのように、東京に集合して対面で行う輪読会が実施できなくなったため、Zoomを使用しての輪読会開催も試みたものの、内容が単なる研究発表ではなく、非常に細かいテキストの作成、検討、修正であり、注釈についても精緻な作業を必要とするため、それを遠隔で行うには大変な困難を生じた。ただこのまま、今後も対面での輪読会が実施できない可能性もあるため、遠隔でも輪読を行える環境は整えつつある。今年度はその実施方法の検討、試行錯誤で終始してしまい、実質的な注釈作業の進展はなかなか難しかったが、今後のテキスト作成、注釈作業に関する基本的な方法、凡例の内容については認識を共有することができた。 一方で各自の関心に即して続けている研究については、論文発表という形で成果を出すことができた。常陸国を中心に展開した西大寺律と他宗との関わり、僧侶間ネットワークの解明については、入宋僧や渡来僧の問題も含めて基本的な整理を行い、今後継続して考察していく端緒を得ることができた。また無住と神道に関わる問題については、中世という時代を超えた通史的な視野から広く考察を進めており、『沙石集』の後世における享受の問題や、説話集という枠を越えて他ジャンルの作品とどのように関わり、影響を及ぼしているかという作品論としての課題についても、一定の認識を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で、地方への実地踏査が全くできなかったことで、研究は中断を余儀なくされてしまった。無住の修学環境を考えるには、実地踏査による成果を踏まえることが必須であり、文献調査のみでは限界があるため、当初の計画からは遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在でも新型コロナウイルス感染症の流行が終息する見込みは立っておらず、当初企画した実地踏査は今後も遅延を余儀なくされると考えられる。研究期間内に実行する可能性が厳しくなった場合には、方向性を変更せざるを得ない。その場合は各自の文献調査、『雑談集』新注釈書刊行に向けた本文作成、注釈作業に注力していくことになるが、各々で続けている研究の成果をまとめた論集の刊行は計画通り行うつもりである。
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