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2021 年度 実績報告書

無住道暁と東国をめぐる宗教文化圏の解明と基礎資料の構築

研究課題

研究課題/領域番号 18H00645
研究機関学習院女子大学

研究代表者

土屋 有里子  学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (70339620)

研究分担者 小林 直樹  大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (40234835)
伊藤 聡  茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (90344829)
加美 甲多  跡見学園女子大学, 文学部, 准教授 (50783578)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード無住道暁 / 沙石集 / 雑談集 / 説話 / 東国
研究実績の概要

本年度は、無住の著作『雑談集』の新テキスト作成作業を各自で進め、研究会を2回開催して情報共有と意見交換を行った。具体的には6月19日と9月26日にいずれもZoomによるオンライン形式で開催し、編纂の方針や凡例、テキスト作成にあたり各自がまとめた問題点の集約などを行い、認識を深めることができた。
無住と東国をめぐる研究に関しては、本年は承久の乱勃発後800年という記念の年にあたることもあり、無住の承久の乱意識を後鳥羽院と北条氏との関わりの中で考察した。無住と北条氏との関係性の深さは従来から言われてきていることだが、今回改めて鎌倉幕府と朝廷の対立、それを取り巻く僧侶の動向及び東国武士との関係から無住を捉えなおすことを進めており、基盤となる文献調査をかなり進めることができた。
国内の寺院調査については、無住が若年時代を過ごし、晩年まで強い関わりをもった常陸国(茨城県)の寺院を中心に計画し、先方と日程調整を進めていたが、新型コロナウイルスの蔓延により断念せざるを得なくなった。常陸国における仏教諸宗の動向と僧侶の活動に関わる実地踏査は、無住の宗教者としての内実を解明するために不可欠であり、調査のための事前文献研究はほぼ完了しているため、次年度の調査の実施を目指して、対象寺院と関係者とは引き続き日程調整を進めていくことになった。
この他にも、無住が重要な存在感を示している中世神道の世界について、修験道や陰陽道、近世の吉田神道との関係性など、通時代的、広汎な視野から考察し、『沙石集』を中心とした説話文学という面からは、後世の『三国伝記』との説話比較を行い、それぞれの説話集の特色について確かな知見を得ることができた。さらには、『沙石集』の後世における影響の一端として、芥川龍之介の切支丹小説に見られる中世の説話的モチーフなどにも視野を広げることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

『雑談集』の新テキスト作成に関する研究会の開催はできたものの、無住の修学や彼をとりまく環境、僧侶間ネットワークの解明に必要な実地踏査が引き続き新型コロナウイルスの影響でほぼ実施できなかった。そのため実地踏査で得た知見を含めて行う研究が全体的に遅れている。

今後の研究の推進方策

今後も引き続き『雑談集』新テキストの作成にむけて作業を進め、研究会を開催して意見交換、情報共有を行う。まずは巻ごとにテキスト及び注釈を完成させ、将来的な刊行に備えて作業完了分までの冊子を作成する。これまで不可能であった実地踏査が実施できるよう努め、その成果を含めて無住の修学と環境に関する論文集を作成、刊行する。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 「きりしとほろ上人伝」の構想―〈地獄太夫〉から〈魔往生〉へ2022

    • 著者名/発表者名
      土屋有里子
    • 雑誌名

      学習院女子大学紀要

      巻: 24 ページ: 21-28

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 中近世移行期における吉田神道の意義2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤聡
    • 雑誌名

      歴史評論

      巻: 863 ページ: 55-69

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 両部神道の形成―鎌倉時代を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤聡
    • 雑誌名

      智山学報

      巻: 71 ページ: 7-66

  • [雑誌論文] 無住と承久の乱―〈運〉と〈果報〉の相剋2021

    • 著者名/発表者名
      土屋有里子
    • 雑誌名

      国語と国文学

      巻: 98(11) ページ: 108-121

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 中世神道説と修験道・陰陽道との関係2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤聡
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 2021年5月臨時増刊号 ページ: 351-362

  • [雑誌論文] 祟・天譴・怪異――日本における天災と信仰2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤聡
    • 雑誌名

      中国―社会と文化

      巻: 36 ページ: 38-48

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 第Ⅱ部(8)「三輪流神道の形成」2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤聡
    • 雑誌名

      伊東貴之 編『東アジアの王権と秩序―思想・宗教・儀礼』

      巻: 汲古書院 ページ: 415-430

  • [雑誌論文] 『三国伝記』と禅律僧―「行」を志向する説話集―2021

    • 著者名/発表者名
      小林直樹
    • 雑誌名

      小助川元太・橋本正俊編『室町前期の文化・社会・宗教―『三国伝記』を読みとく』

      巻: 勉誠出版 ページ: 125-145

  • [雑誌論文] 『扶桑略記』における説話採録の方法―説話と記事とのはざまで―2021

    • 著者名/発表者名
      加美甲多
    • 雑誌名

      『『扶桑略記』の研究』(新典社研究叢書338)

      巻: 新典社 ページ: 227-256

  • [雑誌論文] 『沙石集』伝本の行方―梵舜本と大永三年本―2021

    • 著者名/発表者名
      加美甲多
    • 雑誌名

      『日本古典文学の研究』(新典社研究叢書345)

      巻: 新典社 ページ: 243-266

  • [雑誌論文] 素材としての説話―『三国伝記』と『沙石集』―2021

    • 著者名/発表者名
      加美甲多
    • 雑誌名

      小助川元太・橋本正俊編『室町前期の文化・社会・宗教―『三国伝記』を読みとく』

      巻: 勉誠出版 ページ: 199-212

  • [学会発表] 胎内十月図の成立と展開2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤聡
    • 学会等名
      EAJS(ヨーロッパ日本研究協会)第16回国際大会パネル
    • 国際学会
  • [図書] 日本像の起源―つくられる〈日本的なるもの〉2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤聡
    • 総ページ数
      504
    • 出版者
      KADOKAWA
  • [図書] 寺院文献資料学の新展開 第十巻 神道資料の調査と研究Ⅰ 神道灌頂玉水流と西福寺2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤聡 編著
    • 総ページ数
      600
    • 出版者
      臨川書店
  • [図書] 真福寺善本叢刊 第三期(神道篇)3 御流神道2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤聡 編著
    • 総ページ数
      376
    • 出版者
      臨川書店

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公開日: 2023-12-25  

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