2023年度は、8月9月、2月3月に海外調査を行った。コロナ禍で調査が停止し、調査・デジタル化が止まっていたベルギー王立歴史美術博物館の日本古典籍の調査は、撮影修正分も含めて、別タイプの撮影機材を必要とする大型アルバム・古地図を除いデジタル化が完了した。英国ロンドンでは、ビクトリア&アルバート博物館の古典籍を撮影を開始した。英国セインズベリー芸術研究所が進めている英国内日本文化資源デジタルアーカイブプロジェクトと連携し、先方の研究員もデジタル化作業に参加することで技術教育も行いながらデジタル化を実施した。アート・リサーチセンターのデータベースを利用した一般公開についてのMOUについても議論を進めており、2024年度には実施可能となる目途がたった。ロンドン大学SOASは、SOAS予算をも提供してもらい、図書館所蔵古典籍の一部、全浮世絵のデジタル化を実施し、今後の継続的な連携のための、技術的ワークショップを行った。英国ではこのほかEBIコレクションの追加撮影も行っており、このコレクションだけで、1398件の古典籍が公開できた。カナダでは、ロイヤルオンタリオ博物館の古典籍・浮世絵の追加調査が行われ、総計で古典籍216件、浮世絵4284件という膨大な数の資料を一般公開した。米国シカゴ美術館では、引き続き調査を続けており、今年度までに、1500件の古典籍が一般公開された。そのほか、カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館、ロサンゼルス校東アジア図書館の典籍資料の調査を進めており、本補助金の終了後も継続的に一般公開につなげ、日本人のみならず、日本の文化を研究・愛好する人々への研究基盤の豊富化に努めた。
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