研究課題/領域番号 |
18H00649
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
道坂 昭廣 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (20209795)
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研究分担者 |
玄 幸子 関西大学, 外国語学部, 教授 (00282963)
安岡 孝一 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (20230211)
高田 時雄 関西大学, 東西学術研究所, 委嘱研究員 (60150249)
高橋 智 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (80216720)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中国典籍 / 古写本 / 書誌学 / 敦煌写本 / 写本学 |
研究実績の概要 |
新型コロナウィルスの流行により科研メンバー全員による写本調査を行うことが困難であった。しかし京都大学附属図書館、関西大学図書館、慶應大学斯道文庫など、各自が個別に図書館等に調査に赴いた。それらの一部は古写本データベースに反映させつつある。本科研のもう一つの柱である、日本伝存中国典籍古写本についての情報発信については、『敦煌寫本研究年報』及び『中国古典籍日本古写本の研究 Newsletter』の発行を継続することによって、一定の成果をあげた。また学会発表については、国内外の学会が中止延期となるなか、Zoom等を利用して実施された学会の幾つかで、科研メンバーが発表を行った。 本科研が対象する日本伝存古写本に対する関心は国内ばかりでなく、中国を初めとする国外でも注目が高まっている。なかでも、中国天津師範大学の王曉平教授は以前よりこの分野の研究を進めておられたが、今回中国において「日本漢文古写本整理与研究」というテーマで中国における科研項目を実施されることとなり、本研究と共同で学会シンポジウム等の開催の相談があった。本科研メンバーも可能な限り協力し、情報発信に努めることとなった。 本科研のNewsletterについて、既刊6号までの掲載論文について『国際中国文学研究叢刊』(上海古籍出版社)に中国語翻訳の上、掲載したいとの連絡があり、科研メンバーで相談のうえ、許可した。刊行は2022年度になるが、本科研に対する海外における評価の一つと考えることが可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの流行が長引いているため、科研メンバー全員による中国典籍古写本の調査は実施することができない。ただそれぞれが所属大学の図書館等に所蔵される関連典籍に対する調査を実施した。また国内外の学会も延期中止となるなかで、Zoom等を利用して実施される場合には、成果を発表した。以上のように当初の計画通りではないが、臨機に可能な限り本科研の目的に従って調査、成果の発表を行った。 成果の発表については、学会だけではなく『敦煌寫本研究年報』及び『中国典籍日本古写本の研究Newsletter』の刊行も重要な媒体としているが、この二つは計画通り刊行した。 国内外の移動は依然として状況は不透明であるが、科研メンバーは必要に応じてそれぞれ連絡をとりあい、国内の中国典籍古写本の所蔵機関の状況や、また特に国外の古写本古刊本研究に対する学界の動向について情報を共有している。本科研による所蔵調査の過程で、中国典籍古写本の近世から近代における記録・発見についても調査を広げつつある。このことは本科研の進展を示す重要な成果と考える。
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今後の研究の推進方策 |
中国典籍日本古写本の調査については、足利学校、金沢文庫をはじめとして調査を実施できていない所蔵機関が残る。ただ調査予定機関、閲覧予定典籍については既に選定済みであるので、調査可能な状況になれば、直ちに調査が実施できる。また科研メンバー全員による調査が許されない場合には少人数で実施する。また『敦煌写本研究年報』及び『中国典籍日本古写本の研究 Newsletter』の刊行によって、本科研の研究成果を公開する。科研メンバーそれぞれが国内外の学会において成果を発表する他、中国:天津師範大学王暁平教授をリーターとする中国の科研項目「日本漢文学古写本整理与研究」との共同の学術シンポジウムを開催する予定である。但し新型コロナウィルスの流行状況によってはZoom等を利用した形式になる可能性がある。 古写本データベースについては、提示方法について未確定部分が残るが、本科研の成果として今年度完成の予定である。
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