研究課題
『宋書』楽志二所収の儀式歌のうち、成公綏「晋四箱歌」16篇、王韶之「宋四箱楽歌」5篇、「宋前舞後舞歌」2篇、殷淡「章廟楽舞歌詞」を対象にして、研究代表者・分担者の全員で、本文の校定、詳細な注釈と達意の訳文の作成を行なった。「『宋書』楽志二訳注稿(四)(五)」と題して公表する予定である。底本には百衲本を用い、中華書局の新旧二種の点校本などを参考にした。既発表の「『宋書』楽志二訳注稿(二)」は雑誌掲載後一年を経過したので、機関リポジトリで公開している。「『宋書』楽志二訳注稿(三)」は予定通り、雑誌に掲載して公表した。これと並行して行なっている個々の研究成果については下記の通りである。謝チョウ「游東田」詩末聯の典故として李周翰の引用する「古詩」が楽府に近接する無名氏の民間歌謡であること、それゆえ典故としてそぐわないことを指摘した上で、それとは全く異なる李善の解釈が当該詩の新しさを導き出していることを明らかにした。また、西晋時期の歌辞に魏の曹植の作品をふまえた表現があること、公的文書をそのまま用いていることを明らかにした。たとえば成公綏「晋四箱歌」、張華「晋四箱楽歌」の中に曹植の詩文をふまえた部分があり、荀勗「食挙楽東西箱歌」には後漢時期の詔、策命、令を引用したりふまえた表現にしたりしている。曹植には「野田黄雀行」に見える「利剣」など、剣に言及する作品があり、友情や信義を示すものとして描く常套表現のみならず、「利」である特性に注目して表現する傾向のあることが認められる。その背景に曹丕との後継争いがかかわっているであろうこと、同時期の文学批評語において「剣」で文才をあらわしていることを明らかにした。西晋の傅玄・荀勗・張華・成公綏の「四箱楽歌」を比較して、傅玄と荀勗の作品が近接していること、成公綏の作は張華の作品の内容と構成をふまえつつ制作されたであろうことを明らかにした。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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県立広島大学地域創生学部紀要
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