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2018 年度 実績報告書

複合判断・単独判断に基づく「主語」相対化の文法理論構築に向けた経験的基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 18H00664
研究機関東京外国語大学

研究代表者

藤縄 康弘  東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60253291)

研究分担者 吉田 光演  広島大学, 総合科学研究科, 教授 (90182790)
田中 愼  慶應義塾大学, 文学部(日吉), 教授 (50236593)
室井 禎之  早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60182143)
筒井 友弥  京都外国語短期大学, キャリア英語科, 准教授 (90554189)
大喜 祐太  三重大学, 人文学部, 講師 (60804151)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードドイツ語学 / 定性と数量化 / 存在文 / 情報構造 / 言語哲学
研究実績の概要

本研究課題は、日本語のハとガの振舞いを例に Kuroda (1972) が言語学に導入した「複合判断 (categorical judgment)」と「単独判断 (thetic judgment)」という論理的対立をドイツ語学の立場から以下の 3 相で根本的に捉え直すことを通じ、従来建設的に議論し難かった「文構成における主語の必要性」の問題を相対化し得る、より普遍性の高い「非デカルト派」文法理論の構築に向けた経験的基盤を整備することを目的としている:
① 複合判断・単独判断について、多分に日本語寄りの Kuroda (1972)の解釈を提唱者 Anton Martyに立ち返って再検討し、言語中立的かつ原典に忠実なかたちで定義し直す;
② ①の経験的事例としてドイツ語に焦点を当て、「主語」が鍵を握るさまざまな現象を統括するグランドデザインを示すことで、上述両範疇の言語学的関与性を裏づける;
③ 19世紀の埋もれた言語哲学の発想を採り入れることで現代の理論言語学の枠組みを再活性化し、経験科学としての言語学から哲学的言語論への提言を行う土台を提供する
研究初年度の 2018 年度は、①について、遺稿を含む Marty の原典精査を通じ、彼の理論が実在主義と概念主義の共存を目指しており、複合判断は実体の存在を前提にした述定、単独判断は主述の統合概念に対応する実体の存在認定として構想されていることを確認した。また、②については、ドイツ語や日本語の関連現象(所在・実在・提供等の存在文の諸相、心態詞と定形後置要求表現の関係性、心理形容詞、総称文など)について調査・分析を進め、単純判断、複合判断の個別言語的実現形式に関する意味論的および語用論的対照研究の基礎を固めることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定どおり、研究目的①と②を推進することができた。
①については、Marty の遺稿調査を含む原典資料の確認を終え、成果を論文のかたちにまとめることができた。
②については、各研究分担者が各自のテーマについて調査・分析を進めたほか、成果としても、ヨーロッパ言語学会(Societas Linguistica Europaea)をはじめとする国際的な場で研究発表を行い、本研究課題の関心をある程度まとまったかたちで披露することができた。

今後の研究の推進方策

研究目的①については、収集した原典資料の精査を進め、締め括りとなる成果の発表を目指す。
研究目的②については、引き続き全分担者が各自のテーマについての調査・研究を推進する。各自が国内外の学会・研究会等での成果発表に努めるほか、本研究課題全体としてのまとまったワークショップの開催に向けた準備にとりかかる。
研究目的③については、非デカルト派的言語哲学の方向性を明確にするべく、分担者が関係文献の調査や翻訳、それに基づいた論考などを推進する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] ミュンヘン大学(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      ミュンヘン大学
  • [国際共同研究] ウィーン大学(オーストリア)

    • 国名
      オーストリア
    • 外国機関名
      ウィーン大学
  • [雑誌論文] 複合判断と単独判断―アントン・マルティの言語論再考2018

    • 著者名/発表者名
      藤縄 康弘
    • 雑誌名

      『東京外国語大学論集』

      巻: 97 ページ: 43-57

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Lokalitaet, Faktizitaet, Angebot, Einfuehrung: Verschiedene Aspekte der deutschen Existenzaussage2018

    • 著者名/発表者名
      Yuta Daigi
    • 雑誌名

      日本独文学会東海支部『ドイツ文学』

      巻: 50 ページ: 41-52

    • 査読あり
  • [学会発表] Do "pseudothetic" sentences exist? A German-Japanese contrastive approach to an unknown syntax-semantics-asymmetry2018

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Fujinawa
    • 学会等名
      Societas Linguistica Europaea
    • 国際学会
  • [学会発表] “B-grade subjects” and theticity2018

    • 著者名/発表者名
      Shin Tanaka
    • 学会等名
      Societas Linguistica Europaea
    • 国際学会
  • [学会発表] Eine an Universalitaet orientierte Textgrammatik: Satzaufbauprinzipien aufgrund der Thetik-Kategorik-Distinktion2018

    • 著者名/発表者名
      Shin Tanaka
    • 学会等名
      44. Oesterreichische Linguistiktagung
    • 国際学会
  • [学会発表] Adjective and predication type: Psychadjectives in attributive and predicative usage in German and Japanese2018

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Muroi
    • 学会等名
      Societas Linguistica Europaea
    • 国際学会
  • [学会発表] Die Uebersetzungsmoeglichkeiten der deutschen und japanischen Fokuspartikeln -- nur, allein und dake, sika2018

    • 著者名/発表者名
      Tomoya Tsutsui
    • 学会等名
      46. Linguisten-Seminar
    • 国際学会
  • [図書] 『断絶のコミュニケーション』高田博行・山下仁(編)「そもそもコミュニケーションは成り立っているのか? --「言語の檻」を超えるしくみ」2019

    • 著者名/発表者名
      田中 愼
    • 総ページ数
      259
    • 出版者
      ひつじ書房
    • ISBN
      978-4-89476-961-8
  • [備考] 複合判断・単独判断(科研費基盤研究B)

    • URL

      http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/fujinawa/kaken/18H00664/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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