研究課題/領域番号 |
18H00667
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山村 ひろみ 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (90281188)
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研究分担者 |
渡邊 淳也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20349210)
GIBO LUCILA 上智大学, 外国語学部, 助教 (30737218)
和田 尚明 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40282264)
鈴木 信五 東京音楽大学, 音楽学部, 教授 (40338835)
大森 洋子 明治学院大学, 教養教育センター, 教授 (60233277)
小熊 和郎 西南学院大学, 文学部, 教授 (70169259)
HAMCIUC MONICA 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 准教授 (70721124)
黒沢 直俊 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (80195586)
岸 彩子 埼玉女子短期大学, その他部局等, 准教授 (80749531)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロマンス諸語 / テンス / アスペクト / モダリティ / エビデンシャリティ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は次の2点である。 ①本研究に先立つ「現代ロマンス諸語におけるテンス・アスペクト体系の対照研究(研究課題15K02482)で作成された英・仏・西・伊・葡・伯 ・羅語のパラレルコーパスを用い、それらの時制形式の中で、特に、従来のテンス・アスペクト理論では説明が困難な現象をすべて洗い出し、 それらを新たに「モダリティ」「証拠性(エビデンシャリティ)」の観点から捉え直す。②①の結果を踏まえ、ロマンス諸語における「テンス」「アスペクト」「モダリティ」「エビデンシャリティ」が相互にどのように関係し合うのかを整理し、それを説明することのできる包括的メカニズムを解明する。 上記の目的に即して、2019年度には、(a)当該言語における未来と条件法(直説法過去未来)の振る舞いおよび他の6言語との比較対照、(b)当該言語における未来と条件法の振る舞いと法動詞の関係性の考察および他の6言語との比較対照を行う予定であった。しかし,実際に十分考察することができたのは(a)であった。その結果、ロマンス諸語には、未来と条件法の違いが、フランス語のようにepistemicityの強弱の問題として捉えられる言語とイタリア語のように、[+SELF][+OTHER]という弁別特徴によって特徴づけられるevidentialityの問題として捉えられる言語があるということが明らかになった。 しかし、スペイン語のように、未来と条件法の違いはもっぱらその基準時が発話時にあるか既定の過去時にあるかという時間的なものによる言語もある。さらに、ルーマニア語のようにその様相がまだ明瞭に掴めていないものもある。したがって、今後は、未来と過去未来の振る舞いに関して今年度十分に考察できなかった点を明らかにすると同時に、2019度にやり残した未来と条件法の振る舞いと法動詞の関係性についても洞察を深めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度に立ち上げたTAME(Tense, Aspect, Modality and Evidentiality)研究会を年4回開催し、各言語における「未来」と「条件法現在」の振る舞いの分析、また、対象6言語間における「未来」と「条件法現在」の振る舞いの比較対照等、実り多い議論ができたと思う。しかしながら、これまで重ねてきた議論をどのような形でまとめていくかという点については、まだ検討の余地があると言わざるを得ない。それで、2020年度は、残された研究期間が半分を切ったことを十分意識した上で、これまでの議論のまとめ方、また、その公開の仕方等についての具体的検討に入る必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に具体的に行われた、各言語における「未来」と「条件法」の振る舞いに関する分析、また、対象6言語間における「未来」と「条件法現在」の振る舞いの比較対照をまとめていく必要がある。その際には、本研究が立ち上げた TAME研究会でも頻繁に問題となったepistemicity, evidentiality, modalityという3つの概念の再検討が不可欠である。また、2020年度には、「未来」「条件法現在」以外の時制と epistemicity, evidentiality, modalityとの関係の考察にも着手していきたい。
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