研究課題/領域番号 |
18H00672
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
長田 俊樹 総合地球環境学研究所, 研究部, 名誉教授 (50260055)
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研究分担者 |
小林 正人 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (90337410)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ムンダ諸語 / 危機言語 / アスル語 / ビルホル語 / コルワ語 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はインドで話されているムンダ諸語のうち、消滅の危機に瀕した言語をドキュメンテーションすることである。具体的には、アスル語、ビルホル語、コルワ語の三言語をターゲットとしている。研究主体の長田がアスル語とビルホル語の調査を担当し、研究分担者の小林がコルワ語を担当している。また、現地の共同研究員として、ムルム博士とジョラ博士がフィールド調査に同行し、共同で調査研究をおこなっている。 2019年度は長田がまずゴールデンウィークに、ラーンチーに行き、現地の共同研究員との入念な打ち合わせをおこなった。フィールド調査としては、10月に長田がラーンチーに行き、ビルホル語の調査をおこなった。また、3月には昨年度途中まで研究分担者であったバデノックとともに、アスル語の調査をおこなった。 一方、研究分担者の小林は1月にフィールド調査をおこない、コルワ語の語彙や文法について、調査をおこなった。 2019年の成果としては、長田と小林の共同名で、タイのチェンマイでおこなわれた第8回国際オーストロアジア言語学会で「Grouping of the three minor Kherwarian Munda languages」と題する発表をおこなった。この発表はまさしく本研究の成果にふさわしく、アスル語、ビルホル語、コルワ語の基礎語彙調査に基づく、語彙による言語分類を試みたものである。また、この国際オーストロアジア言語学会に参加されていたディフロス博士からオーストロアジア言語研究の現状について、インタビューすることができ、今後成果として発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように、国際オーストロアジア言語学会で発表をおこなったが、これは本研究の成果である。まだ、発表段階には至っていないが、2年が終わった時点で、ある程度、当該言語のグルーピングに関する発表をまとめられたことは評価できる。また、本研究だけの成果ではないが、ムンダ語擬態語擬音語辞典を出版できたことも非常に大きな成果である。このまま順調に本研究が進んでいくことを願っている。
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今後の研究の推進方策 |
アスル語、ビルホル語、コルワ語のドキュメンテーションのためには、まだまだコーパスを集めていかないと十分とは言えない。しかし、ここにきて新型コロナウィルスという不確定要素があるため、われわれがどこまで調査が行うことができるのかはわからない状況にある。現地の共同研究員も、インドにおける新型コロナウィルス感染状況を見ると、なかなか動けない状況である。そこで、インドでのフィールド調査ができない場合に備えて、これまでの研究をまとめて出版することも考えている。今の時点では今後の研究をどのように推進していくのがいいのか、決断に迷うところであるが、臨機応変に、すすめていければと思っている。
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