本年度は,トピックモデリングとワードエンベディング法を活用した大規模コーパス分析方法論の開発に注力した。18世紀・19世紀の代表的英文学作品を収録した後期近代英語フィクションコーパスを横断的に分析するためのパラミター設定を相互に比較し,メタ分析を実施することで,特定の作家やテクストと結びついている局所性の高いトピックを俯瞰的に示すためにネットワークグラフやヒートマップなどの活用法を詳細に検討し,視覚化することを可能にした。他方,コーパス全体に遍在する,普遍度の高いトピックと関連語クラスターについても特定を進め,特に,身体部位表現(body language)との関係で,トピックモデリングが身体部位を用いた表現のテクスト機能を細分化することに寄与することを研究成果としてまとめ,国際学術集会における口頭発表および学会誌への論文投稿という形で発表した。 他方,本研究計画のもう一つの大きな柱であるコーパス文体論,デジタルヒューマニティーズ(DH)の国際連携基盤を創成するために,本年度は,7月にイタリア出張を行った。その際,国際学会Poetics and Linguistics Association Annual International Conference (PALA2023)のためにイタリア滞在中の先端的DH研究者,文体論研究者と最新の研究情報を交換するとともに,9月にも海外のベルギーから先端的DH研究者を大阪大学に招聘し国際ワークショップ(Osaka-Antwerp Workshop on Machine-learning Approaches to Texts)を実施して共同研究者とともに研究成果を発表し,国際共同連携のための基盤強化を図った。
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