本年度は研究期間最終年度にあたり、主に成果の報告、情報の公開、効果の測定を行うとともに総括を行った。 まず本研究の大きな柱の一つであった「読み物の拡充」については、本年度も前年度から継続して行った。前年度から継続して協力を得ている日本語教師に加え、本研究で行ったセミナー等に参加して興味を持った海外の教師からの作品の提供もあった。また、学習者の「読む→書く→読む」のサイクルにつなげるために、学習者が作成したエッセイを募集し、公開した。成果はウェブサイト「たどくのひろば(https://tadoku.info)で公開しており、年度当初に100作程度であった無料公開読み物は、公開準備中のものを含めて200作近い数となった。 さらに読み物とウェブサイト、これまでのプロジェクトを広く広報するために「たどくのひろば」の冊子を作成し、無料で配付した。当初の計画では日本語教育関係者が多く集まる日本語教育学会の大会で配布する予定であったが、対面開催予定から急遽オンライン開催になったため、配付方法を変更し国内の日本語教育関係者に郵送で送付した。海外については、研究協力者が海外で講演に行った際に持参して配付するなど、可能な範囲で配付している。また、PDF版もウェブサイトに公開している。 成果発信と総括を兼ねて、2022年11月の日本語教育学会秋季大会で行われた「交流ひろば」に出展するとともに、2023年1月には多読に関連するセミナーをオンラインで開催した。どちらも多くの参加があったが、特に後者については国内外から140名の参加申し込みがあった。 新型コロナウィルス感染症の影響で滞っていた効果の検証についても、外国人留学生の日本への渡航が再開され、留学生数が以前のレベルに戻りつつあった2022年度後半において調査を実施した。調査実施が遅れたため、結果の分析については現在行っているところである。
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