介護福祉分野については、初級のレベルから国家試験レベルの高度なレベルまで高度な日本語教育が必要であり、また、外国人学習者が全国に散在していること、海外在住の学習者もいること、さらにコロナ禍においてオンラインの教育が強く求められることから、ICTを基軸とした包括的なカリキュラムが必要である。 本研究では初級のレベルの日本語については研究成果を踏まえて、加藤真実子・奥村恵子・生出亜紀(2019)『介護の日本語1年生』(アスク出版)及び西郡仁朗・奥村匡子・野村愛・石井清志(2021)「介護の専門日本語」を本年度出版した。 また、2021年度には世界のどこからでも利用することができるマルチメディア教材(サブスクリプション付き)「介護の専門日本語」(http://nihongo.hum.tmu.ac.jp/mic-j/kaigo/index.html/)を公開し、学習者の勉学に資することができている。 また、日本政府内閣官房が提唱している『アジア健康構想(Asia Health Wellbeing Initiative)』との連携のもと、JF日本語教育スタンダード参照『介護の日本語Can-doステートメント(KCDS)』を検討し試用版を公開している。(http://nihongo.hum.tmu.ac.jp/KCDS/)。 ただ、コロナ禍のため、対面型およびオンラインの授業による教材の評価や改善が十分にできていないことが残念であり、中級レベルの日本語教育についての情報収集が十全ではないことが今後の大きな課題となっている。
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