研究課題/領域番号 |
18H00690
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
泉 恵美子 関西学院大学, 教育学部, 教授 (10388382)
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研究分担者 |
萬谷 隆一 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (20158546)
長沼 君主 東海大学, 国際教育センター, 教授 (20365836)
アレン・玉井 光江 青山学院大学, 文学部, 教授 (50188413)
田縁 眞弓 立命館大学, 産業社会学部, 非常勤講師 (60646769)
大田 亜紀 別府大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (80848614)
黒川 愛子 帝塚山大学, 教育学部, 准教授 (50821526)
加藤 拓由 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (50848215)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Can-Do尺度 / 思考・判断・表現 / パフォーマンス評価 / ルーブリック / 小学校英語 / 検定教科書 |
研究実績の概要 |
主に以下の内容で研究を遂行した。1.2018年~2020年に作成したCan-Do評価及びパフォーマンス評価尺度について,学会発表やワークショップ,教員研修等で紹介するとともに,研究成果の発表と普及,検証を行った。 2.学習指導要領の観点で,特に「思考・判断・表現」の指導と評価のあり方を考察し,パフォーマンス課題とタスク例,並びにCan-Do指標によるルーブリック試案などの評価開発を行った。その際,『学習指導要領』並びに 国立教育政策研究所『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料』の事例も参考に,深い思考を促し,対話的で協同的な学びを行わせるためにどのようなタスクやパフォーマンス課題を設定すればよいかを考察した。また,4技能5領域別に5・6年生用の検定教科書7社15冊を分析し,目標と評価規準等をエクセルシートに書き出し,その特徴をまとめるとともに,領域ごとに指導と評価の提案を行った。 3.小学校外国語活動・外国語科にCan-Do評価,パフォーマンス評価を取り入れることで,授業計画や指導がどのように変化し,授業が改善されるかを,国公私立小学校で実際の授業を通して検証を行った。その際,児童・保護者,教員の同意を得て協力を依頼した。 また,ルーブリックを元に実際にパフォーマンス評価を行い,児童の振り返りシートを用いた自己評価と教員の評価を比較し,どのように児童の思考力 ・判断力・表現力を深めることができるかや,教員と児童の評価のずれなど課題等を洗い出し考察した。 4.リタラシー指導において,トップダウンとボトムアップの視点からの目標と指導・評価の在り方を検討し,実際にテスト問題等を開発し,小学校で実施した。 5.科研のHPの更新を行い,Can-Doリスト,パフォーマンス評価試案等を公開すると共に,セミナーやワークショップの予定やチラシを掲載し,広報に務めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度計画したことで,以下の内容が実施できたため,おおむね順調に進展していると考える。 2020年度4月より,新学習指導要領が完全実施となり,小学校高学年で「外国語」科が開始され,文部科学省検定済教科書を使用して指導を行い,評定を付けることになった。今年度はオンラインでの会合を重ね,小学校外国語新教科書7社15冊の分析を行った。その際,5領域の特徴について,教科書に加え,各教科書会社で提供されている資料も参考に,学習指導要領との関連についても分析を行い,指導と評価の在り方について記載・提案をした。その上で,特に「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」を4技能5領域でどのように指導・評価すればよいかについて議論を重ね,領域や単元毎に,思考・判断を働かせるような場面設定やタスクを考え,Can-Do評価尺度とルーブリックによるパフォーマンス評価について考案した。また,作成した尺度やルーブリックを用いた実践を公立や私立の小学校で研究協力者の先生方に行っていただき,その結果の報告と,研究分担者の研究論文も併せて冊子を発行し,HPにも掲載した。 リタラシー指導に関してもボトムアップとトップダウンの両面から,指導と評価について検討し,Can-Doによる自己評価と能力の相関も分析した結果,児童の自己評価の信頼性は高いことが分かった。 さらに,第20回小学校英語教育学会 中部・岐阜大会を始め,学会での研究発表や,オンラインによるワークショップ(計8回)を開催した。前半は,国立教育政策研究所(2019)の『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料』の読み解きと実践を報告し,後半は,領域別に基礎・発展・応用編と称し,評価にかかわる事項を取り上げ,実践報告や研究成果を発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,小中の連携も視野に入れている。そのため,来年度中学校で新学習指導要領が完全実施となり,新教科書も用いられることから,中学校の外国語の教科書分析も実施し,中学校1年の指導と評価についても考えたい。その際,「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」を育成するためのCan-Do評価やルーブリックを用いたパフォーマンス評価を提案し,自己効力感や有能感,自律性を育成する英語の指導と評価のあり方を引き続き検討し,授業実践を通して児童の振り返りシート,教師の内省シートを中心に検証も行いたい。
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