研究課題/領域番号 |
18H00695
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研究機関 | 神田外語大学 |
研究代表者 |
矢頭 典枝 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (10512379)
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研究分担者 |
関屋 康 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (20196968)
小中原 麻友 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (80580703)
川口 裕司 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20204703)
斎藤 弘子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (10205669)
吉冨 朝子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (40272611)
梅野 毅 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 助手 (10722340)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 英語変種 / 社会言語学 / 世界の英語 / ウェブ教材 / 英語教育 / 教育メディア / 英語モジュール / アジア英語 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、本研究の目的と年度計画に基づき、以下の実績を上げた。 1.インドのデリー大学のSatynath准教授の指導のもとで完成したインド英語の40会話のスクリプトを使い、平成30年7月に神田外語大学と東京外国語大学においてスタジオ収録影を行った。その際に、Satynath准教授と助手のSharma氏を招聘し、スタジオ収録の現場で出演者たちを指導してもらった。さらに、両氏に神田外語大学と東京外国語大学においてインド英語についての講演を行ってもらい、インド英語についての研究会を開催した。その後、研究協力者たちが、最終版のスクリプトと収録した動画音声をもとに、字幕、和訳、語彙記述、発音記述を行った後、ウェブページを構築し、平成31年2月「インド英語会話モジュール」を両大学の専用ウェブサイト上で公開した。 2.平成31年1月にフィリピン英語会話モジュールの40会話のスクリプトをフィリピンのデラサール大学の研究者たちに依頼した。2月末、研究代表者の矢頭と研究協力者の小中原がフィリピンを訪問し、デラサール大学のDita准教授が監修したフィリピン英語の40会話のスクリプトの内容について説明を受け、フィリピン英語の特徴について研究した。 3.東京、静岡、福岡、札幌など全国10都市で開催された全国7外大連合主催の公開講座において、高校生を対象に、すでに公開している英語会話モジュールを使って「世界の英語」と題する講座を行い、本ウェブ教材の有効性を検証した。また、9月に神田外語大学で開催された「通訳ボランティア育成セミナー」と11月に開催された「スポーツ・リベラル・アーツ講座」において大学生を対象に同様の講座を行った。 4.本科研の代表者と分担者たちが、本報告書10.に示すように、それぞれ学術誌等に論文を発表し、学会や研究会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成30年度は、研究代表者矢頭典枝の責任のもと、モジュール開発と研究が当初の計画通り、円滑に遂行された。 インド英語会話モジュールのスタジオ収録を年度の前期に行ったために、その後の編集作業に十分な時間を費やすことが出来た。他言語・多民族国家インドの英語は、欧米の英語と異なり、話者の母語、出身地、社会階層、教育レベル、欧米の英語との接触の度合いにより、きわめて多様な英語として表れるため、出演者たち一人ひとりの背景を調べることが重要となり、分析が困難を極めた。モジュールの編集に携わった多くの研究協力者たちが、膨大かつ難解な作業を遂行するのに尽力し、本科研代表者と分担者たちも時間をかけて監修し、さらなる分析と修正を行い、その結果、満足のいくモジュールを公開することが出来た。 また、2月末にフィリピン英語会話モジュールの40会話のスクリプトが完成したため、次年度における完成を円滑に行う布石を敷くことができた。 さらに、今年度は高校生と大学生を対象とする数多くの公開講座に参加する機会に恵まれたため、本ウェブ教材の有効性を検証する基盤を構築することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年は、すでに完成しているフィリピン英語の40会話を使ってスタジオ収録し、その後、一連の編集作業を行い、10月頃に公開する予定である。また、7月に、デラサール大学のDita准教授を招聘し、神田外語大学と東京外国語大学においてフィリピン英語とアジア英語についての講演を行う予定である。 他方で、マレーシア英語会話モジュールの開発を開始する。まず、年度初めにマラヤ大学のPillai教授にマレーシア英語の40会話のスクリプトの作成を依頼し、夏に矢頭と小中原が同大学を訪問し、Pillai教授の監修のもとで完成したマレーシア英語のスクリプトの内容について説明を受け、マレーシア英語の特徴について研究する予定である。9月にPillai教授を招聘し、スタジオ収録に参加してもらうとともに、神田外語大学と東京外国語大学においてマレーシア英語をめぐる最新の研究についての講演を予定している。マレーシア英語会話モジュールの公開は年度内に行う。 また、来年度に開発を着手するスコットランド英語モジュールの40会話のスクリプト作成をスコットランドのエジンバラ大学の英語学を専門とする研究者たちに依頼し、作成に取り掛かる。 令和元年では、学習者である高校生・大学生だけではなく、英語を教える立場にある高校・大学の教員を対象としたセミナーを開催し、本ウェブ教材を活用して英語の多様性について教え、教員にとっての本ウェブ教材の教育効果を検証する。そのうえで、「共通語としての英語 (English as a lingua franca)」の視点から、多様な言語文化・背景の英語使用者同士が英語変種を超えてコミュニケーションをとる能力を育成する英語教育の手法を確立することを目指す。
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