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2020 年度 実績報告書

16~17世紀における銀の移動と情報伝達:グローバル・ヒストリーの視点から

研究課題

研究課題/領域番号 18H00699
研究機関東京大学

研究代表者

森脇 優紀  東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任助教 (90733460)

研究分担者 川村 信三  上智大学, 文学部, 教授 (00317497)
田口 智子  東京藝術大学, 大学院美術研究科, 研究員 (90755472)
伊藤 幸司  九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (30364128)
小島 浩之  東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 講師 (70334224)
丸橋 充拓  島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (10325029)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード世界システム論 / グローバル・ヒストリー / 大航海時代 / 比較・交流史 / 分析化学 / 料紙研究 / 古文書学 / 経済史
研究実績の概要

2020年は、新型コロナウィルス感染症の世界的拡大により、国内外での文書調査や銀の化学分析の実施が困難となったため、研究メンバー間でオンライン会議やメーリングリスト等を用いて適宜情報共有し、各自で研究を進めつつ、翌年に予算を繰り越して感染症の収束を待った。
2021年秋になり、国内の感染状況が落ち着いてきたため、まずは国内調査による関連資料の蒐集・分析と文書料紙調査に取り組んだ。2021年11月に日本二十六聖人記念館にて、フランシスコ・ザビエル書簡等4点を調査し、各文書の形態測定・顕微鏡観察により紙質を特定した。銀の組成分析については、前年度までに蓄積してきた石見銀を中心とする国内銀の組成分析データと比較するため、中国銀錠やボリビア銀、ラテンアメリカ銀など国外の銀を試料として、東京藝術大学で可搬型蛍光X線分析(XRF分析)を行った。さらに試料に含まれる微量成分のより精密なデータを得るために、高感度のタンデム加速器を用いた分析手法が有用であると考え、東京大学総合研究博物館タンデム加速器研究施設に研究協力を要請し了承を得た。ここでは、上記試料のうちラテンアメリカ銀1点で試験的な分析を実施し、タンデム加速器利用による銀資料へのダメージの程度と、この方法を文化財に用いることの安全性を確認した。さらに、本研究の目的である日本銀とラテンアメリカ銀の組成を比較するための分析条件などを検証した。
なお本研究課題では、在外日本関係古文書調査が不可欠であり、2019年度からの海外調査を継続する機会をうかがっていたが、2022年も状況は改善しなかったことから再度予算を繰り越した。最終的に2023年3月に、バチカン図書館、カサナテンセ図書館、ドミニコ会サンタ・マリア・ノヴェッラ図書館にて、2019年度に調査できなかったキリシタン関係の文書について、内容および料紙調査を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2019年度に引き続き、2020年中に国内調査およびローマのイエズス会文書館、カサナテンセ図書館、バチカン図書館などでの海外調査を行う予定であったが、2020年春以降2022年まで、新型コロナウィルス感染症の拡大により、国内外での調査を中断せざるを得なくなったため。また、海外調査が可能になった後も、ローマのイエズス会文書館は閲覧制限により、訪問日程の調整が困難を極め、実現しなかったため。
さらに、銀の分析についても、新型コロナウィルス感染症の拡大により分析のための施設利用が制限され、分析の一時中断を余儀なくされたため。

今後の研究の推進方策

新型コロナウィルス感染症の状況も勘案しつつ、基本的には2020年度と同様にオンラインによる会議やメーリングリストの活用により、メンバー間の調整や情報共有を行う。
海外調査については、2019年度より継続して調査を行っているバチカン図書館が所蔵する日本のキリシタン文書やそれとの関連性が指摘される文書を中心に調査する。
銀の分析調査については、前年度からの継続として、東京大学総合研究博物館タンデム加速器研究施設の共同利用を申請し、ラテンアメリカ銀の組成分析を実施する。タンデム加速器を利用することで、ラテンアメリカ銀に含まれる微量元素を確認し、その組成の特徴を見出す。これにより、先行研究で指摘のある日本銀との組成の相違を明確にできることが期待される。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 5件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] 日本銀とラテンアメリカ銀の世界的移動の痕跡をたどる文理融合的研究(1):XRFとタンデム加速器(PIXE法)による微量元素比較の試み2022

    • 著者名/発表者名
      田口智子・森脇優紀・松崎浩之
    • 雑誌名

      東京大学経済学部資料室年報

      巻: 12 ページ: 30-50

  • [雑誌論文] 報告 紙の誕生と伝播から見る「記録媒体の世界史」 : 東洋から西洋へ;紙の誕生と伝播から見る「記録媒体の世界史」 : 東洋から西洋へ オンライン連続講座「知の継承(バトン)」(第1回)2022

    • 著者名/発表者名
      矢野正隆
    • 雑誌名

      東京大学経済学部資料室年報

      巻: 12 ページ: 54-56

  • [雑誌論文] 中世日本最大の国際貿易港―室町・戦国時代の博多とアジア―2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤幸司
    • 雑誌名

      西日本文化

      巻: 500 ページ: 42-45

  • [雑誌論文] 書評 古文書の様式と国際比較[小島道裕・田中大喜・荒木和憲編 国立歴史民俗博物館監修]2021

    • 著者名/発表者名
      小島浩之
    • 雑誌名

      アーカイブズ研究

      巻: 35 ページ: 150-158

  • [雑誌論文] 書評 近代ヒスパニック世界と文書ネットワーク[吉江貴文編]2020

    • 著者名/発表者名
      森脇優紀
    • 雑誌名

      『アーカイブズ学研究』

      巻: 33 ページ: 88-96

  • [学会発表] 東アジア古文書学の構築にむけて : 国内所蔵中国古文書調査から2021

    • 著者名/発表者名
      小島浩之
    • 学会等名
      明清史夏合宿
    • 招待講演
  • [学会発表] 教皇たちと日本ーバチカンから見るキリシタン遺産 日本信徒・奉答書の研究成果から2021

    • 著者名/発表者名
      川村信三
    • 学会等名
      角川文化振興財団・朝日新聞社共催 日本・バチカンプロジェクト
    • 招待講演
  • [学会発表] バチカン図書館バルベリーニ文庫所蔵日本文書ー『奉答書』から読み取る都キリシタンの知られざる一側面2021

    • 著者名/発表者名
      川村信三
    • 学会等名
      キリシタン文化研究会
  • [学会発表] ローマ教皇と日本人信徒の往還ー奉答書をめぐる日本・バチカン交流の記憶(長崎奉答書のケース)2021

    • 著者名/発表者名
      川村信三
    • 学会等名
      角川文化振興財団・朝日新聞社共催 日本・バチカンプロジェクト
    • 招待講演
  • [学会発表] 歴史史料をモノから読み解く : 何に情報を記すのか2021

    • 著者名/発表者名
      小島浩之・森脇優紀
    • 学会等名
      東京大学経済学図書館・経済学部資料室・東アジア藝文書院・読売調査機構「オンライン連続講座「知の継承(バトン)」2021年度第1回講座「紙の誕生と伝播から見る『記録媒体の世界史』 : 東洋から西洋へ」
  • [学会発表] 料紙調査からみた「在泰京越南寺院景福寺所蔵漢籍字喃本」の基礎的考察2021

    • 著者名/発表者名
      小島浩之・矢野正隆
    • 学会等名
      東南アジア学会第103回研究大会
  • [学会発表] “感染症と人類” の歴史を紐解く2020

    • 著者名/発表者名
      小野塚知二
    • 学会等名
      東京大学ホームカミングデイ2020 特別フォーラム『新型コロナウイルスと人類 ~想定外にいかに向き合うか』
    • 招待講演
  • [学会発表] 経済学史と経済史の間:その現実と隔たりと理想的な関係2020

    • 著者名/発表者名
      小野塚知二
    • 学会等名
      経済学史学会第84回大会共通論題
    • 招待講演
  • [図書] 中世の博多とアジア2021

    • 著者名/発表者名
      伊藤幸司
    • 総ページ数
      563
    • 出版者
      勉誠出版
    • ISBN
      9784585223009
  • [図書] キリシタン歴史探究の現在と未来2021

    • 著者名/発表者名
      川村信三編・キリスト教史学会監修
    • 総ページ数
      262
    • 出版者
      教文館
    • ISBN
      9784764261501
  • [図書] 社会経済史学事典2021

    • 著者名/発表者名
      社会経済史学会編
    • 総ページ数
      746
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      9784621306024
  • [図書] イエズス会教育の歴史と対話ーキリシタン時代から現代に至る挑戦2020

    • 著者名/発表者名
      桑原直己・島村絵里子編
    • 総ページ数
      540
    • 出版者
      知泉書館
    • ISBN
      9784862853240
  • [図書] 歴史学の縁取り方―フレームワークの史学史2020

    • 著者名/発表者名
      恒木健太郎・左近幸村編
    • 総ページ数
      269
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      9784130262675

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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