研究課題/領域番号 |
18H00703
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
陳 來幸 兵庫県立大学, 国際商経学部, 教授 (00227357)
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研究分担者 |
上田 貴子 近畿大学, 文芸学部, 教授 (00411653)
貴志 俊彦 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (10259567)
王 雪萍 東洋大学, 社会学部, 教授 (10439234)
籠谷 直人 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (70185734)
宮原 曉 大阪大学, グローバルイニシアティブセンター, 教授 (70294171)
北村 由美 京都大学, 附属図書館, 准教授 (70335214)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 華僑 / 冷戦 / ネットワーク / 僑務政策 / 台湾 / 社会運動 / 客家 / 金門 |
研究実績の概要 |
キックオフのためのメンバー会議を神戸で開き、①異分野・複数言語研究者による共同研究推進体制をとること、②婚姻を通じた個別日本華僑のファミリーネットワークの検証を行うこと、③日本華僑史の再構築を目指ことについての理解を深めた。 阪神間に在住する福建系のT家、金門系のK家、客家系P家への個別訪問聞き取り調査を進め、それぞれフィリピン華僑調査グループ、インドネシア華僑調査グループが、香港や僑郷との繋がりを確認しつつ、現地調査のための事前準備を行った。これらを踏まえ、フィリピングループ二名は年度末にフィリピンへの華僑社会調査を実施、ベトナム華僑社会グループと北幇(大阪華僑)グループ、キリスト教ネットワーク担当協力者は台湾への資料調査を実施し、台湾では現地研究協力者3名と打ち合わせを行い、次年度の共同調査を企画した。 他の戦後日本華僑史グループは先行研究の成果を抑えつつ調査を進め、国内を中心に資料収集を行った。 インドネシア華僑グループ3名は分担者が主催する別科研グループとともに日本華僑華人学会の大会にて分科会を組織し、「客家ネットワーク」をキーワードに成果発表を行い、さらに研究代表者は当該年度に国立民族学博物館で行われた「台湾客家と日本客家」ワークショップに論評者として参加して内外の研究者と交流を深め、翌年度実施予定の海外共同研究に繋げた。 戦後の経済秩序のグループも順調に史料収集と調査を進め、上海市档案館で戦中戦後の企業活動の展開を知る手がかりを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多方面にわたり、さまざまな研究課題をかかえつつ同時進行している本研究は、いくつかのグループに分かれて一年目の事前調査を順調に終えた。全体の顔合わせが7月と遅かったが、台湾での史料調査は5名が、上海での史料調査は1名が赴き、現地華僑社会調査はフィリピンに2名が、米州調査には1名が赴いた。なお、国内の着実な史料収集調査も順調に進んでいる。 加えて、学会・研究会・国際シンポジウムでの成果発表と積極的な参加により、二年目の本格調査の企画を充実したものとすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
二年目と三年目には僑居地としてのインドネシアとフィリピンの継続調査を実施し、加えて、ベトナムとアメリカ大陸の状況に関する調査も進める。さらに、僑郷調査を充実させ、客家の僑郷である梅県の華僑研究と金門島の華僑研究の第一人者を招聘してシンポジウムを開き、調査での協力をお願いする。また、重要拠点である香港、大阪北幇華僑や韓国・朝鮮華僑の僑郷である山東省・遼寧省調査を計画している。教会・宗教ネットワークの追跡もできれば台湾から朝鮮半島に伸長させてゆきたい。 二年目の2019年度には日本華僑華人学会の大会が大阪(近畿大学)で開催される予定である。大阪華僑についての開催校企画を本科研メンバー3名が中心となって主催する。また、台湾とインドネシアの研究協力者とともに大規模調査団を組んで「客家」「金門」をキーワードにインドネシア華僑社会調査を行う予定である。 金門ネットワークと客家ネットワークとともに、戦後の日本華僑社会の重要なプレーヤーであった台湾人の役割にも注目している。戦後日本の留学生と日本の社会運動と華僑を担当する分担者および協力者とともに、戦後日本における台湾人研究の分野で第一線で活躍している研究者を招聘し、ワークショップを開催するとともに、日本での調査を依頼する計画である。 本研究は神戸華僑歴史博物館の展示や特別展にも協力を行い、社会に成果をアウトプットすることを目指しており、戦後冷戦期以降のアメリカ大陸の華僑社会におけるアウトプット調査も視野に入れている。
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