研究課題
研究実施計画に記載した海外調査は前年度同様ほぼ実施不可能であったが、その代替イベントとして企画した帰国華僑研究者の招へいや冷戦期横浜華僑を扱ったフィルムの監督を囲むワークショップ、合同研究会の開催は前年度繰越・再繰越金で実施した。同時進行で進めた第四年度は成果報告に代わる出版物の刊行に注力し、各自努力してもらった。その結果、代表者を含め分担研究者のうち6名と研究協力者9名による15章+3コラム構成からなる成果物が陳來幸編『冷戦アジアと華僑華人』(風響社)として刊行された。18篇のうち2篇が戦後日本の華僑・留学生運動と日本の社会運動を扱い、3篇が大阪の華僑社会を深く掘り下げ、2篇が在日台湾人の論考となり、資料収集が進んだ日本関連が全体の半分を占めた。インドネシアについては4篇、フィリピ関連連ではコラムを含め3篇、ベトナムについても資料収集の成果を反映した論考が加わり、戦後の大陸中国から退避して海を越えた生き残り戦略で難局を乗り越えた企業に関する論考と冷戦期台湾の社会福利に関するもの、相対的な視点を提供するペルー華僑の出入国問題を扱う論考を加えた。研究目的に掲げた次の3点、①一次資料の精査と口述調査により、戦後日本の華僑史を歴史学手法によって明らかにできたこと、②国共両党、中台二つの政府の華僑政策に則してアジアを中心とした各地華僑社会が冷戦期に共有したジレンマを複眼的に描きだしたこと、③日本の華僑華人研究で比較的手薄であった大阪華僑を、戦前の居留地時代の実態描写、北幇グループの中華料理業のビジネスモデルの指摘、政府補助金と大阪中華学校の再建という視点から詳細に描いたこと、は研究の成果といえる。加えて、日本国内の神戸・横浜・東京・長崎の華僑学校の再建の実情を明らかにしたことにより、華僑社会およびそれらと政府との相互関係に言及できた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 18件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
陳來幸編『冷戦アジアと華僑華人』風響社
巻: ― ページ: 138-159
巻: ― ページ: 30-56
巻: ― ページ: 57-87
巻: ― ページ: 90-112
巻: ― ページ: 113-135
巻: ― ページ: 162-182
巻: ― ページ: 183-212
巻: ― ページ: 213-232
巻: ― ページ: 236-261
巻: ― ページ: 262-283
巻: ― ページ: 284-294
巻: ― ページ: 295-308
巻: ― ページ: 310-337
巻: ― ページ: 338-351
巻: ― ページ: 352-361
巻: ― ページ: 364-384
巻: ― ページ: 387-415
巻: ― ページ: 416-436
https://pubs.research.kyoto-u.ac.jp/book/9784894893382