研究課題/領域番号 |
18H00705
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
矢切 努 中京大学, 法学部, 准教授 (70718759)
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研究分担者 |
酒井 恵美子 中京大学, 教養教育研究院, 教授 (00217754)
手塚 崇聡 中京大学, 教養教育研究院, 准教授 (30582621)
檜山 幸夫 中京大学, 社会科学研究所, 特任研究員 (40148242)
桑原 英明 中京大学, 総合政策学部, 教授 (80225325)
東山 京子 中京大学, 社会科学研究所, 研究員 (80570077)
高田 倫子 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (80721042)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 国民の共有財産 / アーカイブズ / 公文書 / 私文書 / 文書管理 |
研究実績の概要 |
2020年度は、健全な民主主義国家のあるべき文書管理の姿を提案するため、①主に日本・カナダ・中国・イタリア・台湾の法や規定における「公文書」及び「私文書」概念整理を主に行っていく。もっともこれらの諸国の事例も含めつつ、2019年度に不十分であった「『私文書』等の収集・管理に関する内外の比較研究を通じて、日本における『私文書』概念を定義する」ことについても検討していく計画であった。。②国外調査では、ドイツ・イタリア・カナダの文書管理担当部局における「公文書」及び「私文書」等の管理の実態調査を、国内では、沖縄・九州・東北・関西地方の自治体の文書管理担当部局について、各施設の政治的・財政的な問題を含め、首長の方針(政治的指針)・組織 (担当部局)・人員配置(文書管理に携わる職員の人数や常勤・非常勤の比率等)・専門職員の有無(及びその権限と求められる能力)などを中心に調査を進める予定であった。 ①については、1回の研究会、2回のメール会議を開催し、各研究者で行った概念整理についての研究発表を実施するとともに、情報共有を行った(2020年6月22日、9月27日~28日、10月20日~27日)。加えて、矢切努が、2019年3月に実施した大阪大学社学共創連続セミナー第4回「地方公共団体における公文書館の現状と課題-公文書館専門職の経験を通じて」の講演を踏まえ、『アーカイブズとアーキビスト 記録を守り伝える担い手たち』(大阪大学出版会、2021年3月31日)に、「地方公文書館の現状と課題」を寄稿し成果発表を行った。 ②については、国内・国外調査ともに、いまだコロナ禍が十分に収まりきってはいなかったため、計画通りの遂行は困難であったため、各研究分担者において、これまでの調査資料の整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で記載した通り、①については、各研究分担者の間で概念整理や調査研究を進めることができたが、②についてはコロナ禍の影響により、実地調査を行うことができず、資料整理等にとどまったため、残念ながら、予定よりやや遅れている状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、「健全な民主主義国家のあるべき文書管理」のモデルの提言を行うために、以下の二点を行う予定である。 ①日本・カナダ・中国・イタリア・台湾などの各国の法や規定においての「公文書」及び「私文書」概念の整理を行っていく予定である。ただ、これらの各国の事例も含めつつ、2020年度には行うことができなかった「『私文書』等の収集・管理に関する内外の比較法・比較政治研究を行うことを通して、日本での『私文書』概念の定義」について検討する予定である。 ②国外調査では、ドイツ・イタリア・カナダの文書管理担当部局における「公文書」及び「私文書」等の管理の実態調査を行う。また国内では、沖縄・九州・東北・関西地方の自治体の文書管理担当部局について、特に、各施設の政治的・財政的な問題を含め、首長の方針(政治的指針)・組織(担当部局)・人員配置(文書管理に携わる職員の人数や常勤・非常勤の配置や比率等)・専門職員(いわゆるアーキビスト)の有無(及びその権限と求められる能力、さらには待遇)などを中心に調査を進める予定である。また各施設の「公文書」と「私文書」との選別や収集・保存の状況、公開のあり方などについての聞き取りを行い、地域の特有性や伝統、さらには政治的・財政的状況に基づく「公文書」・「私文書」の取り扱いや、文書管理のあり方についての実態調査等を進める予定である。以上の①・②を踏まえ、最終的に「自治体などにおける文書管理の実態と、『私文書』を含む全ての文書を『国民共有の財産』として保存管理している諸外国の事例を踏まえた文書管理論を試作する」予定である。ただ新型コロナウイルスの感染状況等を鑑み、特に実態調査は、研究方法の大幅な修正が必要となる場合もあると考えている。状況の変化に応じた対応が必要になるが、当初予定していた学会、研究会、聞き取り調査等についてオンラインでの実施も検討している。
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