研究課題/領域番号 |
18H00706
|
研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
磯貝 健一 追手門学院大学, 国際教養学部, 教授 (40351259)
|
研究分担者 |
阿部 尚史 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (20589626)
磯貝 真澄 京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (90582502)
堀川 徹 京都外国語大学, 国際言語平和研究所, PAX MUNDI 特別研究員 (60108967)
宮下 修一 中央大学, 法務研究科, 教授 (80377712)
矢島 洋一 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (60410990)
和崎 聖日 中部大学, 人文学部, 講師 (10648794)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | ウズベキスタン / 中央ユーラシア / 家族史 / イスラーム法 / 古文書 / 聞き取り調査 |
研究実績の概要 |
2018年度は、ウズベキスタン共和国での資料収集、日本国内での研究成果報告会、および、本研究を通じて蓄積された古文書読解技能の継承を目的とするセミナーの開催を実施する計画であったが、その全てを遂行した。以下、各項目について説明する。 【ウズベキスタン共和国での資料収集と聞き取り調査】8月に、代表者、研究分担者4名および協力者1名の計6名で同国を訪れ、タシュケントの国立古文書館、科学アカデミー東洋学研究所、ヒヴァのイチャン・カラ博物館、フェルガナの州立博物館で資料収集を実施した。現地の家族史を再構成する上で極めて重要な、19世紀から20世紀初頭の現地語法廷文書、および、ロシア帝国側が作成した統計資料等の当時の刊行物を複写した。また、2019年2月に代表者と分担者の和崎の2名が同国を訪れ、婚姻・離婚に関するイスラーム法由来の規程・慣習が現地でどの程度継承されているか、との観点から現地の宗教関係者等計4名に聞き取り調査を実施した。 【近代中央ユーラシア比較法制度史研究会】2018年7月と11月の2回、研究会を開催し、本研究のテーマである家族史をテーマとする研究報告を行い、その後参加者と共に、特に婚姻・離婚等のテーマを中心に、報告内容に関する討議を行った。尚、各回の報告の概要は次のHPに掲載されている。(7月開催分)http://tbias.jp/reports/20180729、(11月開催分)http://tbias.jp/reports/20180224 【中央アジア古文書セミナー】2019年3月に奈良女子大学を会場として、現地語法廷文書読解技術継承を目的として中央アジア古文書セミナーを開催し、24名の参加者を得た(内1名は海外からの参加者)。概要については、次のHPを参照のこと。http://tbias.jp/reports/20190316
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、年度初めに申請した計画に記載した(1)ウズベキスタン共和国での資料調査、(2)国内研究会の開催、(3)ウズベキスタン共和国での聞き取り調査、の全てを遂行することができた。(1)については、同国内各地の古文書館、研究所、博物館で家族史研究に不可欠な法廷文書、当時のロシア側が作成した統計資料等の刊行物などを複写することができた。(2)については、7月に奈良、11月に静岡で家族史をテーマとする研究報告(報告者は計3名)を実施するとともに、2019年3月の古文書セミナーでは主に関西、関東から20名を超える出席者を得て、19世紀末~20世紀初頭中央アジアのイスラーム法廷文書の解説、講読を行った。また、(3)についても、ウズベキスタン共和国科学アカデミー歴史学研究所所員のアドハム・アシロフ氏の協力を得て、現地の宗教者(タシュケント市内のモスクのイマーム)、宗教教育・研究従事者計4名を対象にイスラーム法の婚姻・離婚規程の継承状況について聞き取り調査を実施することができた。以上の様に、当初の研究計画を全てスムースに実施したことにより、進捗状況として「おおむね順調に進展している」を選択した。
|
今後の研究の推進方策 |
申請書に記載した通り研究を実施する予定である。ただし、昨年度初めて現地での聞き取り調査を実施した結果、次の問題点が明らかになった。(1)個々の調査対象者のインタビュー開始時刻は、対象者の仕事上の都合で調査の直前まで決まらないことが多く、当日は終日連絡のつく場所で待機する必要があった。そのため、今後現地で聞き取り調査を実施する際は、相当の日数を聞き取り調査のためだけに確保する必要がある。(2)聞き取り調査は当初タシュケント市内のみで実施する予定であったが、昨年度の調査の折に現地コーディネーターとして支援を受けた文化人類学者のアドハム・アシロフ氏との協議の結果、タシュケント市外での調査も今後必要となるであろうとの結論に至った。(1)(2)より、今後のウズベキスタン出張については研究開始時点での計画を多少変更して、出張回数を増やす、または、一回の出張における滞在日数を多少延長する等の措置を取る可能性もある。また、2020年度には海外研究者を招聘してシンポジウムを開催する計画であるので、今年度中に招聘者のリストアップを行う必要がある。以上の点につき、本研究が所期の目的を達成できるよう、研究分担者と協議の上、進めていきたい。
|