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2019 年度 実績報告書

近代中央アジアのムスリム家族とイスラーム法の社会史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18H00706
研究機関京都大学

研究代表者

磯貝 健一  京都大学, 文学研究科, 教授 (40351259)

研究分担者 阿部 尚史  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (20589626)
磯貝 真澄  東北大学, 東北アジア研究センター, 助教 (90582502)
堀川 徹  京都外国語大学, 国際言語平和研究所, PAX MUNDI 特別研究員 (60108967)
宮下 修一  中央大学, 法務研究科, 教授 (80377712)
矢島 洋一  奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (60410990)
和崎 聖日  中部大学, 人文学部, 講師 (10648794)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード中央ユーラシア / シャリーア法廷文書 / ウズベキスタン / 家族史
研究実績の概要

2019年度は、(1)ウズベキスタン共和国での資料収集、および、聞き取り調査、(2)国内での研究報告会、(3)本研究を通じて蓄積された法廷文書読解技能の継承を目的とするセミナー、をそれぞれ実施する計画であったが、その殆どを遂行することができた。ただし、上記(1)については、新型コロナウイルス流行のため、2020年3月を目処に実施予定であった2回めの聞き取り調査は実施することができなかった。以下、各項目について説明する。
(1)について:2019年8月に、代表者および研究分担者4名の計5名で同国を訪れ、タシュケントの国立古文書館、ヒヴァのイチャン・カラ博物館にて家族史研究遂行のために必要な法廷文書等の史料を収集した。また、タシュケントでは同国科学アカデミー歴史学研究所のアドハム・アシロフ氏の協力を得て、現在同国でイスラーム法教育に従事する研究者3名、および、同国の女子マドラサの学校長1名に聞き取り調査を実施した。
(2)について:2019年7月と11月に、共に京都大学大学院文学研究科附属文化遺産学・人文知連携センター(CESCHI)羽田記念館(以下、「羽田記念館」)を会場として、家族史に関連する研究会を開催した。尚、海外研究者も報告者として参加した11月の研究会は二部構成で実施し、第一部の使用言語を英語として国際シンポジウム形式とした。尚、研究会の詳細な内容については下記リンク先を参照のこと。(7月開催分)http://tbias.jp/reports/20190706(11月開催分)http://tbias.jp/reports/20191116
(3)について:2020年3月7,8の両日に、羽田記念館にて開催し、計21名の参加者を得た。詳細な内容については下記リンク先を参照のこと。http://tbias.jp/reports/20200307

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度は、元々計画していた(1)ウズベキスタン共和国での資料調査、(2)ウズベキスタン共和国での聞き取り調査、(3)国内研究会の開催、の殆ど全てを実施することができた。(1)については、タシュケントの国立中央古文書館で、ロシア帝国サマルカンド州の20世紀初頭の遺産分割台帳を発見し複写したことが、家族史研究をテーマに掲げる本研究にとっての大きな成果である。(2)については、2020年冬の調査を実施できなかったものの、2019年8月に現地でイスラーム法の教育・研究に携わる4名を対象に、現在のウズベキスタンにおけるイスラーム法由来の慣行の継承の有無を中心に聞き取り調査を実施することができた。また、(3)については、2回の「近代中央ユーラシア比較法制度史研究会」で計6名が報告し、1回目は17名、2回目は19名の参加者を得た(参加者には報告者も含む)。これは中央ユーラシアの家族史という限定的なテーマの研究会としては相当に多い参加者数と言える。また、上記の様に2回目の会では、本来2020年度に実施予定であった海外シンポジウムを前倒しで実施することができた。「中央アジア古文書研究セミナー」は、新型コロナウイルス流行のため参加者数は前年度より微減したものの、学部生が3名出席し(京大2名、東大1名)、研究技術の継承という面で学界に大きく貢献し得たと考える。以上の様に、今年度の研究計画をほぼ達成していることにより、進捗状況として「おおむね順調に進展している」を選択した。

今後の研究の推進方策

申請書に記載した通り研究を実施する予定であるが、新型コロナウイルスの流行収束の見込みが立たないため(2020年4月下旬時点)、5月中旬頃には大幅に計画の見直しを迫られる可能性がある。その場合の研究推進方策として、以下の諸点を検討している。(1)国内研究会、セミナーの開催について:少なくとも年度前半は通常の対面での研究会実施が出来ないものと想定されるので、その間はオンライン形式での研究会に切り替えて実施する。(2)海外での資料収集について:夏にウズベキスタン共和国にて実施する予定であるが、これも実現の可能性は低い。このため、出張が不可能となった場合、新規資料の収集作業を既収集の文書のカタログ化作業に変更し、カタログの編集会議を定期的にオンラインで実施する等の措置を取る。(3)聞き取り調査について:ウズベキスタン共和国への出張が出来なければ実施は不可能である。その場合、既に実施済みの聞き取り調査結果の分析、および、研究会における分析結果の共有を行う。

  • 研究成果

    (24件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件) 図書 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] サファヴィー朝滅亡後のシェイフ・サフィー=アッディーン廟――アルダビール文書のなかの18、19世紀勅令・命令書2020

    • 著者名/発表者名
      阿部尚史
    • 雑誌名

      アジア・アフリカ言語文化研究

      巻: 99 ページ: 133-168

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Правовой плюрализм и мусульманский развод в Волго-Уральском регионе конца XIX века2020

    • 著者名/発表者名
      Исогай, Масуми
    • 雑誌名

      Десятые Большаковские чтения: сборник статей международной научно-практической конференции

      巻: 論集 ページ: 67-70

  • [雑誌論文] 中央アジア文明における宗教信仰と儀礼2020

    • 著者名/発表者名
      アドハム・アシロフ(著)、和崎聖日(訳)
    • 雑誌名

      アフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明

      巻: 8 ページ: 15-21

  • [雑誌論文] 旧ソ連中央アジアのスーフィズムと病気治療:ジャフル儀礼の手順について2020

    • 著者名/発表者名
      和崎聖日、アドハム・アシロフ
    • 雑誌名

      アフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明

      巻: 8 ページ: 23-32

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 遺産の共有:19世紀後半から20世紀初頭中央アジアの家族と家産継承2019

    • 著者名/発表者名
      磯貝健一
    • 雑誌名

      西南アジア研究

      巻: 89 ページ: 87-116

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 19世紀から20世紀初頭のロシアにおけるムスリムの婚姻と法(特論1-3)2019

    • 著者名/発表者名
      磯貝真澄
    • 雑誌名

      結婚と離婚(イスラーム・ジェンダー・スタディーズ1)

      巻: 1 ページ: 146-149

  • [雑誌論文] 書評と紹介 長縄宣博著『イスラームのロシア:帝国・宗教・公共圏, 1905~1917』2019

    • 著者名/発表者名
      磯貝真澄
    • 雑誌名

      イスラム世界

      巻: 91 ページ: 37-45

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 大塚修著『普遍史の変貌:ペルシア語文化圏における形成と展開』2019

    • 著者名/発表者名
      矢島洋一
    • 雑誌名

      オリエント

      巻: 62-1 ページ: 50-55

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 第4章「旧ソ連ムスリムの結婚と離婚―ウズベキスタンの例」2019

    • 著者名/発表者名
      和崎聖日
    • 雑誌名

      長沢栄治監、森田豊子・小野仁美編『イスラーム・ジェンダー・スタディーズ1 結婚と離婚』

      巻: 論集 ページ: 83-107

  • [雑誌論文] ウズベク語におけるクルアーンの解釈と翻訳について2019

    • 著者名/発表者名
      ハサンハン・ヤフヤー・アブドゥルマジード(著)、和崎聖日、木村暁(訳)
    • 雑誌名

      日本中央アジア学会報

      巻: 15 ページ: 23-52

  • [学会発表] ヒヴァのテュルク語ファトワー文書2020

    • 著者名/発表者名
      矢島洋一
    • 学会等名
      第18回中央アジア古文書研究セミナー
  • [学会発表] Urban Household Structure in 19th Century Iran: The Case of Tabriz2019

    • 著者名/発表者名
      ABE, Naofumi
    • 学会等名
      The Ninth European Conference of Iranian Studies
    • 国際学会
  • [学会発表] 王朝滅亡後の王家祖廟:19世紀シェイフ・サフィー廟の財産管理と保全の試み2019

    • 著者名/発表者名
      阿部尚史
    • 学会等名
      上智史学会
  • [学会発表] 財産目録・帳簿史料に見る家産の維持・存続――19世紀後半におけるイラン有力者家族の実践2019

    • 著者名/発表者名
      阿部尚史
    • 学会等名
      九州史学会
  • [学会発表] 16世紀後半中央アジアのマドラサ・カリキュラム2019

    • 著者名/発表者名
      磯貝健一
    • 学会等名
      第82回羽田記念館定例講演会
  • [学会発表] ロシア帝国統治期(1865-1917)の中央アジア・シャリーア法廷台帳について2019

    • 著者名/発表者名
      磯貝健一
    • 学会等名
      グローバルな視点でみるユーラシア大陸:第5回清朝と内陸アジア国際学術研究会
    • 国際学会
  • [学会発表] ロシア帝国領中央アジアのシャリーア法廷判決台帳:その意義と史料としての特性2019

    • 著者名/発表者名
      磯貝健一
    • 学会等名
      法制史学会東京部会第277回例会
  • [学会発表] ロシア帝政期ヴォルガ・ウラル地域のムスリムとイスラーム家族法2019

    • 著者名/発表者名
      磯貝真澄
    • 学会等名
      第1回「中央ユーラシアのムスリムと家族・規範」研究会
  • [学会発表] Muslim Marriages and Divorces in the Late Nineteenth-Century Volga-Ural Region2019

    • 著者名/発表者名
      ISOGAI, Masumi
    • 学会等名
      International Workshop “Contested Legal Practices in the Long Nineteenth Century: The Volga-Ural Region, Kazakh Steppe, and Eastern Anatolia”
    • 国際学会
  • [学会発表] トルキスタン地方のロシア法廷におけるムスリム家族関係訴訟2019

    • 著者名/発表者名
      矢島洋一
    • 学会等名
      第12回近代中央ユーラシア比較法制度史研究会
  • [学会発表] 現代中央アジアのスーフィズムの一様相―ペルシア系住民による病気治療の儀礼2019

    • 著者名/発表者名
      和崎聖日
    • 学会等名
      第56回野尻湖クリルタイ
  • [図書] イスラーム法と家産2020

    • 著者名/発表者名
      阿部 尚史
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      中央公論新社
    • ISBN
      978-4120052743
  • [図書] “My Autobiography” by Hasan `Ata' Gabashi in 1928: `Ulama and Soviet Power2020

    • 著者名/発表者名
      FARKHSHATOV, Marsil N. and ISOGAI, Masumi
    • 総ページ数
      xlvi + 73
    • 出版者
      Fuchu, Tokyo: Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa, Tokyo University of Foreign Studies
    • ISBN
      978-4-86337-326-6
  • [学会・シンポジウム開催] 第13回近代中央ユーラシア比較法制度史研究会2019

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公開日: 2021-01-27  

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