本年度においては、史料調査については、古河市歴史博物館・桐生市立中央図書館・いわき市大國魂神社・南相馬市博物館・石川町板橋家・東北大学文学部・大阪府立中之島図書館・奈良県立図書館・大和文華館・天理大学附属図書館・佐賀県立名護屋城博物館において、古河公方足利氏関係文書および室町・戦国期関東・南奥関係文書について、調査・撮影・複写をおこない、関係史料の蒐集にあたった。また黒田は、東京大学史料編纂所国内研究員として受け入れられ、同所所蔵史料について、関係史料の蒐集をおこなった。その結果、古河公方足利氏当主・一族・家臣発給文書については、ほぼ写真版の入手を遂げ、またそれらについて総編年化作業をすすめるとともに、ほとんどの史料についての入力作業を終えることができた。 研究遂行のための研究会(関東足利氏研究会)については、3回開催し、研究成果論集の内容報告をおこない、互いに研究内容についての理解を深めた。 研究成果の公表としては、黒田編『足利成氏・政氏〈古河公方の新研究1〉』(戎光祥出版)・同『足利高基・晴氏〈古河公方の新研究2〉』(戎光祥出版)を刊行した。それらは公方歴代について、発給文書・生涯・家臣・主要な政治動向・年表などをまとめたものであり、現在の研究の到達点を提示するとともに、今後の関連研究の主発点をなすものとなる。 また引き続いて、『足利義氏・古河姫君〈古河公方の新研究3〉』の刊行のための、論文執筆を開始している。同書は、古河公方足利氏についての研究成果の最終巻にあたる。刊行は2年後を予定している。さらに関係文書については、『戦国遺文関東足利氏編』として刊行を予定している。同論集刊行後に、編集・刊行作業に入る予定である。 それらの成果刊行により、本研究全体の研究成果の公表を達成できる予定である。
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