研究課題/領域番号 |
18H00720
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐川 英治 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (00343286)
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研究分担者 |
小宮 秀陵 獨協大学, 国際教養学部, 准教授 (30802011)
河上 麻由子 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 准教授 (50647873)
小尾 孝夫 大東文化大学, 文学部, 准教授 (90526675)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中国史 / 古代史 / 東アジア史 / 古代末期 |
研究実績の概要 |
今年度は東方学会秋季学術大会において「中華の多元化―東アジアの「古代末期」―」と題するシンポジウムを開催し、2022年度に成果の取りまとめをおこなった。付晨晨「斉梁類書における魏晋知識の典故化」は、南朝の後半期に一種の百科全書である類書の編纂がさかんにおこなわれたことについて論じ、その背景には、魏晋期に家門を起こした二流の寒門士族たちの家に蓄積された知識を類書に盛り込むことにより、その価値を漢の古典と同じように高めて古典化しようとするねらいがあったを明らかにした。戸川貴行「南斉・梁における『周礼』の受容について」は、南朝において『周礼』にもとづく儀礼制度の導入が積極的に進められていく背景について論じ、その転機は、北魏の洛陽遷都の翌年に、傍系から即位した南斉の明帝が何トウ之を用いて『周礼』にもとづく凶礼を整備したことにあることを明らかにした。岡部毅史「梁代における外国用将軍号の新設について」は、梁にのみみえる特殊な将軍号の制度と運用を分析し、そこには一元的な天下観から脱け出て外国は外国として処遇していこうとする新しい国際意識の萌芽が合われていることを明らかにした。河上麻由子「則天武后の権威の多元性」は、則天武后の仏教利用を東部ユーラシアの視野から見直し、則天武后がさかんに仏教を取り入れたのは、東武ユーラシアと深くむすびついた世界帝国の権威を仏教の持つ普遍性を用いて高めるためでもあったことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナによる影響は受けたが、国内の研究協力者との共同研究を進めることができ、「4、5世紀を転期とする中国社会の変容」、「3~8世紀における中国文化の伝播と中心の拡散」「3~8世紀における仏教の浸透と中華の変容」の3つのテーマに沿って一定の成果を得ることができた。また国内でも研究会を開催し、雑誌論文、学会発表、図書等による成果発信を続けることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も①4、5世紀を転期とする中国社会の変容、②3~8世紀における中国文化の伝播と中心の拡散、③3~8世紀の中華の多様性と東アジアでの受容、④3~8世紀における仏教の浸透と中華の変容、⑤ヨーロッパの「古代末期」と東アジアの比較、の5つテーマに沿って研究を進めていく。研究会を継続し、上記の5つのテーマについての具体的かつ実証的な進めていくとともに、雑誌論文、学会発表、図書等による成果発信を続けていく。
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