研究課題/領域番号 |
18H00720
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐川 英治 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (00343286)
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研究分担者 |
小宮 秀陵 獨協大学, 国際教養学部, 准教授 (30802011)
河上 麻由子 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 准教授 (50647873)
小尾 孝夫 大東文化大学, 文学部, 准教授 (90526675)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中国史 / 古代史 / 東アジア史 / 古代末期 |
研究実績の概要 |
今年度はこれまでの研究のとりまとめをおこない、これまでの科研の成果をもとにした論文集『多元的中華世界の形成―東アジアの「古代末期」―』を刊行することができた。本書は東アジアの3~8世紀を多元的中華世界の形成期とする新しい時代区分を提起するものである。主な成果として、佐川英治「カツ仙洞石刻祝文にみる北魏王権の多元性」は、1980年に内モンゴル自治区フルンボル市オロチョン自治旗で発見されたカツ仙洞碑文と『魏書』に改竄して収録された祝文との比較を通じて、北魏王権の実像に迫るもので、北魏は中国と遊牧世界と宗教世界の権威を複合的に取り込んだ、かつてない多元的な性格の王朝であったことを明らかにした。小尾孝夫「梁代における建康の繁栄と仏教および寺院空間」は、建康における仏教ならびに仏寺の発展についての歴史をたどり、そこに移民との深いかかわりをみる。建康を流れる秦淮河の南岸には有名な長干寺があり、梁代にはここで僧侶による救貧活動がおこなわれるようになる。その背景には、僑州郡県の廃止と梁の流民定住化政策による建康への膨大な人口流入があった。建康の寺院は都市に流れ込んだ人々のための新しい公共空間としての性格を持ったのである。小宮秀陵「6世紀新羅における大王号の使用とその意義」は、6世紀にソウル近郊の北漢山頂に立てられた真興王巡狩碑を手がかりに新羅王権の多元的な性格を明らかにした。6世紀になると新羅ではそれまで君主が用いていた寐錦や麻立干の称号に代わって王号が用いられ元号が立てられるようになる。そこには徳によって立つという中国の影響が認められるが、大王(太王)号の使用には固有の天命思想によってこれを称えた高句麗の影響がある。また碑の立地からは独自の山岳信仰がみてとれ、碑文には仏教とのつながりも示されるなど、「大王」は多様な王権を包摂する新羅王権の性格を反映する称号であった。
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現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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