研究課題/領域番号 |
18H00721
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
田中 比呂志 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (90269572)
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研究分担者 |
山本 真 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20316681)
林 幸司 成城大学, 経済学部, 教授 (30612775)
祁 建民 長崎県立大学, 国際社会学部, 教授 (70448819)
古泉 達矢 金沢大学, 法学系, 准教授 (90724831)
内山 雅生 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (30151905)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 村落档案 / 華北農村 |
研究実績の概要 |
本年度はコロナウィルス蔓延の状況に鑑み、直接会う形式での研究会を避けて、5月末にオンラインにて打ち合わせ会議を実施し、研究計画を検討した。計画では9月、10月に中国を訪問して調査を実施する予定であった。しかしながらコロナ蔓延の状況が全く終息せず、結局の所、中国への訪問および聞き取り調査は実施できなかった。このため、新たなる村落档案史料の閲覧・収集や補充的調査も実施できなかった。 そこで、本年度はこれまでに収集した史料の精読に努めるとともに、華北農村社会の構造的把握と比較的長期的時間軸の中で華北農村社会の変化について検討をするために第二次世界大戦前に実施された中国社会調査、農村調査の記録を閲読し、分析を進めた。これに加えて、中国社会調査、農村調査に関する新たな史料集が日本、中国で出版されたので、これを科研費を用いて購入し、分析を進めた。 打ち合わせ会議実施以降、定期的にオンライン研究会を実施して、史料の分析に関する検討を進めた。また新たに上梓された現代中国農村社会に関する研究書籍の書評などを進めて、現代中国農村社会に関する認識・理解を深めることができた。その中の一部分は2021年4月に雑誌『中国研究月報』(通号878号)に掲載となった。 また、2019年度に行った農村訪問調査の記録(「華北農村訪問調査(8)付東北農村訪問調査」『東京学芸大学紀要人文社会科学系Ⅱ』71集、「華中農村訪問調査」(Ⅰ)『日本海研究』第51号)をまとめ、雑誌・紀要に発表し、公表した。さらには戦前の日本の中国関係専門雑誌である『支那時報』についての論考(『戦前日本の華中・華南調査』所収「『支那時報』とその華中・華南関係記事」)をまとめ、発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はこれまでに収集した膨大な村落档案を分析することが中心であり、その理解や相対化のために補充的調査を実施するという内容である。コロナウィルス蔓延の下、後者は実施できなかったが、村落档案史料の分析は全く影響は受けていない。また、新たなる刊行史料が出版され、これを入手してやや長い時間軸の中で中国農村社会の構造的把握をする作業が進みつつあり、上記のような評価をできるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同じく、まず収集済みの村落档案史料の分析を進める。これに加え、まだ入手していない刊行史料を入手して、比較的長期的な時間軸の中での華北農村社会の構造的把握を進める。なお、ワクチンの接種が順調に進んでいけば、秋以降に中国農村訪問を実施できるのではないかと見込んでいる。状況が改善したならば、農村を訪問して調査を進めたい。この他、日本の調査や民間史料等を通じて、台湾農村との比較を検討してみたい。日本植民地下の台湾社会と、8年ほどではあるが日本占領下の華北農村社会の構造の異同を比較することによって、華北農村社会の構造の理解が進むと思われるからである。
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